8218 ー四季綴りー野地美樹子日本画展

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ー四季綴りー野地美樹子日本画展
ー四季綴りー野地美樹子日本画展

横浜高島屋で開催中の個展「ー四季綴りー野地美樹子日本画展」を鑑賞した。今回はギャラリートークが開催されることに合わせ、時間を合わせての訪問となった。

野地美樹子氏は、郷さくら美術館の展示をきっかけに知った作家であり、これまでもその作品に触れる機会は何度かあったが、個展に足を運ぶこと、そして何よりご本人を見かけるのは今回が初めて。トークの開始時間が近づくにつれ、会場は用意された椅子が足りなくなるほどの盛況ぶりを見せていた。

トークの中で特に印象深かったのは、画家という職業がいかに孤独であるかという点だった。展示する作品の制作から空間の構成に至るまで、すべてを単独で考え抜かなければならないという。通常はひとつの展覧会に向けて集中して臨むものだが、今回の直前に開催された展覧会は会期が長く、次の個展までの間隔が短かったため、後半からはすでに今展の構想を並行して進めざるを得ない状況だったという。

当初は、自身の得意とする「冬の景色」を中心とした構成にしようと考えていたが、ギャラリーの担当者との会話の中で「本当にやりたいのがそれならば、良いのではないか」と言われ、それが一種の「逃げ」の選択肢になっていないかとハッとしたという。そこからさらに検討を重ねた結果、今回の四季の移ろいを意識した展示構成へと至ったそうだ。

今展のメインとして据えられている「紅葉の屏風」の制作には、相当な試行錯誤があったことが明かされた。通常、大作に挑む際は小さなテスト作品をいくつも作り、画面を検証した上で本番に臨むことが多いが、この紅葉の作品に関しては小さな試作を一点しか用意できなかったため、手探りでの苦悩が多かったようだ。

紅葉の葉を1枚ずつ緻密に描き込んでいく作業では、ある程度の物量が画面に現れない限り、自身の狙い通りの表現になっているかどうかが判別できない。100枚、200枚と描き進め、少し離れた位置から全体を眺めて初めて状態が掴めるという。

家事を終えた夜から作業に入り、そのまま一睡もせずに朝を迎えることも珍しくなく、開催が迫る中での焦燥感は凄まじかったと語る。完成された絵の穏やかな空気からは想像もつかないが、その美しさはこうした極限の焦りの上に成り立っているという事実は非常に興味深い。

また、どの作品も徹底した綿密な取材に基づいて描かれている点も強く心に残った。

例えば北海道の雪景色を描く際、理想的な陽光が差し込む時間は日中のごく限られた瞬間だけである。しかし、曇天など条件が優れない日であっても、限られた取材時間の中で何かしらの収穫を得ようと現地に向かう。そうした逆境の中でたまたま遭遇した予期せぬ光景が、新たなモチーフとして作品につながることもあるという。

作品そのものの魅力もさることながら、作者自身の生の声を通じて、その背景にある凄絶なプロセスや思考に触れることで、絵画の見え方はより深く、立体的なものへと変化していく気がした。
貴重な機会であったため、可能であれば直接言葉を交わしてみたいところであったが、同じように声をかけようと待つ熱心な来場者が多く、今回は断念せざるを得なかった。また次の機会があれば、ぜひその創作の哲学に耳を傾けてみたい。

Posted by ろん