ヤバい絵/定家 菜穂子
- ヤバい絵 狂気と創造―死ぬまでに観るべき日本の名画
- 定家 菜穂子
- 実業之日本社 2024/12/26
絵画鑑賞では、もちろん、作品そのものを”感じる”ことも大事だとは思うが、個人的に、必要だと思っているのは、その作品が作られた背景を知ることだと思っている。
それを知ることで、作家や絵師が、その作品に込めた思いが伝わってくるのではないかという気がしている。
本書は、有名絵師たちの特徴的な作品を取り上げて、彼らの波乱万丈な人生をわかりやすく紹介している。
子犬が印象的な長沢蘆雪は子を4人も亡くしている。46歳の若さで客死しているという事実。多彩な才能を妬まれたとか、謎に包まれた死の原因は自殺とも他殺とも言われているそう。当時から注目された絵師なのに、なぜ亡くなったのかわからないというのは、かえって彼が特別な人物であったことの裏返しなのだと思う。
蔦屋重三郎に見出され人気絵師になった喜多川歌麿は、当時の幕府から目をつけられ、さまざまな制約を課せられる。それほど注目されるほどの存在であったのに出生はおろか妻子の存在まで判然としないそう。
当時の人々が蔑んだ最下級の遊女を題材にしたのは、母も下級遊女でありその境遇を重ねたのかもしれない。
俵屋宗達は、もともと、扇面や色紙を扱うような店を構える絵屋だったが、補修などで絵を描いているなどしているうちに絵師になったという異色の経緯があるそうだ。そんな彼が、優れた絵師にだけ与えられる「法橋」になったのだから、その実力はすごい。狩野探幽をはじめ狩野派を脅かすかもしれない存在として認識した可能性があるという。それが関係したか、亡くなった経緯は謎とされているそうだ。
他にも、伊藤若冲、葛飾北斎、河鍋暁斎、酒井抱一など、気になる絵師たちも紹介されている。
今回、こうして彼らの人生を知ることで、今後の作品鑑賞で彼らの名前を見たときの見方が変わってきそうだ。
ただちょっと残念に感じたのは、紹介されている作品の数は控えめだということ。
気になった部分をネットで検索しつつ、読み進めていく…そんな感じになった。
