8214 三菱一号館 Café1894

建築・都市

社内のコンテスト受賞にともなう金一封を活用し、部門内での懇親会が催された。

以前の「銀座ライオン」での集まりに続く第2弾として、ふだんはあまり足を運ばないクラシカルな場所という趣旨から選ばれたのが、丸の内の三菱一号館内にある「Café 1894」だった。

三菱一号館
三菱一号館
café1894
café1894
かつての銀行窓口も再現
かつての銀行窓口も再現

その名の通り、1894年(明治27年)に竣工したこの建物は、日本初の本格的なオフィスビルとして知られている。

しかし、現在の瑞々しいクラシカルな佇まいが当時からそのまま遺されてきたわけではない。

1968年に一度解体されており、2009年になって同じ場所に復元され、現在は美術館やレストランとして活用されているという経緯を持つ。

一歩足を踏み入れると、高い天井と重厚なカウンターが目を引き、かつて銀行営業室として使われていた往時の空気を色濃く漂わせている。

ただ、空間の雰囲気とは裏腹に店内は程よく賑やかで、決して畏まる必要のない居心地の良さも持ち合わせていた。

食事を美味しくいただく一方で、この場所が現在の姿に至るまでの経緯を調べてみると、いろいろと興味深い事実が浮かび上がってきた。

落ち着いた雰囲気
落ち着いた雰囲気
天井が高い
天井が高い

パッと見た印象では竣工当時の姿をそのまま伝えているように思えるが、構造物の多くは当時のオリジナルではなく、後年に“再現”されたものに過ぎない。

解体当時の状況を紐解くと、文化的価値の高さから有識者による保存運動が展開されていたにもかかわらず、抜き打ち的な形で強行に取り壊されたという。

三菱側は老朽化による危険性を理由に挙げたようだが、保存要請の動きが本格化して問題が長期化することを避けたかった、というのが実情だろう。

それから40年の時を経て、残されていた煉瓦などの部材を分析し、可能な限り忠実に再構築を行い、伝統的な工法を採用するなど、膨大な労力をかけて現在の姿が建て直された。

壊した時代と、復元を試みた時代との間にある、価値観の大きな移り変わりを感じずにはいられない。

一方で、一部の建築専門家からは「これは“復元”ではなく“再現(レプリカ)”に過ぎない」という厳しい評価も下されているという。

コースの飲み放題プランにおいて、注文から提供までの時間にやや長さを感じる場面はあったものの、料理自体の質は高く、充実した時間を過ごすことができた。

Posted by ろん