8212 企画展「明朝体」

博物館・展覧会,芸術・デザイン

専門的な知識があるわけではないが、普段から街中や本の中で文字を見るとき、つい「どんなフォントで書かれているのだろう」と意識してしまうことが多い。

まっすぐな横画の右端に「ウロコ」と呼ばれる小さな三角形を持ち、毛筆を思わせるハライやハネを備えているのが「明朝体」の特徴だ。数ある書体の中でも、明朝体は極めて緻密にデザインされた別格の存在であると個人的に感じてきた。

子どものころ作った見出し
子どものころ作った見出し
先月作った目印
先月作った目印

先日も、とある課題を解決するための目印を明朝体で自作したばかりだし、振り返れば子どものころ、新聞の切り抜きをまとめたスクラップブックの見出しにも明朝体を選んで使っていた。

むかしから、この書体に強い愛着を持っていたのだろう。

 

 

今日は、大日本印刷が運営する「市谷の杜 本と活字館」で開催中の企画展「明朝体」を鑑賞。

ここを訪れるのは2021年4月以来、2度目となる。前回はコロナ禍のため完全予約制だったが、現在はその必要もない。会期が来週までに迫っている影響もあってか、館内は多くの来場者で賑わっていた。

「市谷の杜 本と活字館」は2度目
「市谷の杜 本と活字館」は2度目
活字をイメージしたサイン
活字をイメージしたサイン

2階の企画展示室へ向かう。

まず入口にさまざまな明朝体の偏(へん)や旁(つくり)を象った凹凸のパズルが置かれており、形を一致させて遊べるようになっていた。

企画展「明朝体」
企画展「明朝体」
明朝体について
明朝体について
並べると違いを感じる
並べると違いを感じる

今回の展示で主に紹介されていたのは、以下の9書体である。伝統の系譜: 築地体、秀英体
写植時代の名作: 石井明朝
現代の標準・個性派: 本明朝、リュウミン、ヒラギノ明朝体、イワタ明朝体オールド、筑紫明朝、貂明朝

印刷やデザインのプロであれば、文字を見ただけでどの書体か判別できるのだろうが、素人には極めて難しい。しかし、こうして一堂に並べて比較してみると、同じ「明朝体」という枠組みでありながら、太さのバランスや空間の広さ、筆の残し方など、それぞれのフォントが持つ豊かな個性を感じることができる。

興味深い話がいっぱい
興味深い話がいっぱい
歴史を振り返る
歴史を振り返る

展示は主に、これらの書体の歴史や系譜を重点的に紹介する構成になっていた。「ヒラギノ明朝体」がMac OS Xに搭載され、現在のiPhoneやiPadにまで受け継がれていること、また「本明朝」がWindowsに搭載されている「MS 明朝」のベースになっていることなど、日頃から無意識のうちに接している明朝体がいかに多いかを実感させられる。

歴史的な変遷も十分に興味深かったが、日常の書籍やポスターなど、実際の社会でどのように使い分けられているかという「実例」がさらに多く紹介されていれば、個々の書体の性格がより身近に、立体的に伝わってきたかもしれない。

なぜかおみくじ
なぜかおみくじ
築地体とヒラギノ明朝体だった
築地体とヒラギノ明朝体だった
久しぶりに訪れた活字館で、普段何気なく消費している「文字」の背後にある、デザインの奥深さに触れる有意義な時間となった。

Posted by ろん