8207 ハッカーのフードと泥棒の唐草模様の系譜

銀行のサイトでこんなイラストを見かけた。
そういえば、インターネット関連の犯罪者を表現する際、判で押したように同じイメージが使われることが多い。
- パーカーを着ている
- フードを被っている
- 暗い部屋にいる
- 不敵な笑みを浮かべている
あらためて考えてみると、これは奇妙な演出だ。
別に暗い部屋でパソコンを操作す理由はないし、自室の中でわざわざフードを被る必要性もわからない。誰かに見られているわけでもないのだから、顔を隠す意味もないはずだ。
これらのイメージはいったいどこから来たのだろうか。
実際のハッカーが作業している姿をリアルタイムで見たことがある人など、世の中にほとんどいないはず。
おそらく、発端は映画などのフィクションにおける演出だろう。
サイバー犯罪を視覚的に説明、あるいは「周知」する際、この姿がテンプレートとして採用され続けたのではないだろうか。最初の一例がどこであったかは忘れ去られ、引用が繰り返されるたびにイメージが強化され、人々の記憶に定着していったのだ。

こうした「現実にはあり得ないが、記号として定着しているステレオタイプ」として思い出すのが、日本の泥棒の姿だ。
実際、「泥棒 イメージ」で検索すると「緑地に白の渦巻きが描かれた唐草模様の風呂敷を背負っている」という泥棒の姿がいくらでも出てくる。
だが、実際にそのような泥棒を目撃したことがある人は現代にはいないだろう。しかし、誰もが「いかにも泥棒らしい姿」として認識している。
ハッカーのフード姿も、この唐草模様の風呂敷と同じ仕組みで生まれた記号と言える。
ただ、ハッカーの場合はこれが日本国内に留まらず、世界共通の「ワールドワイドな記号」として機能している点が、現代のデジタル社会を象徴しているようで興味深い。