8195 館蔵品展「東京アトリエ探訪―画廊・アトリエ村・美術学校―」

博物館・展覧会,芸術・デザイン

板橋区立美術館で開催中の「館蔵品展 東京アトリエ探訪 ―画廊・アトリエ村・美術学校―」を観賞。

館蔵品展ということからか入館料は無料で、さらに写真撮影も自由だった。

写真撮影自由
写真撮影自由
板橋区立美術館の館蔵品展
板橋区立美術館の館蔵品展
鶴田吾郎《長崎村の春》1926年
鶴田吾郎《長崎村の春》1926年

鶴田吾郎《長崎村の春》1926年
100年ほど前の長崎村(現在の豊島区長崎周辺)では、全国でも珍しい芸術家向けの借家があったそうだ。
広い板の間のアトリエに小さな畳の間が付いていて、各地から上京してきた画学生や芸術家を志す若者に大人気だったという。
パリの芸術家の街になぞらえて「池袋モンパルナス」と呼ばれることになる。
当時自身の自宅のあった長崎村の風景を描いた作品。
なんとものどかだ。

河辺昌久《メカニズム》1924年
河辺昌久《メカニズム》1924年

河辺昌久《メカニズム》1924年
なんて書いてあるのだろうと思って検索したら、L’ESPRIT NOUVEAU(エスプリ・ヌーボー、新しき精神)だという。
これは、ル・コルビュジエなどが第一次世界大戦後の機械文明の到来に合わせて、伝統的な装飾や様式を否定し、機能と理性に基づいた新しい建築と芸術の在り方を指す考え方で、「ピュリスム(純粋主義)」という美術運動を展開。考え方の核となる要素として…
1. 機械と機能性の賛美(「住むための機械」)
2. ピュリスム(純粋主義)と幾何学(キュビズムの否定)
3. 近代建築の五原則(マニフェスト)
4. 建築的プロムナード

で、この作品…人間と機械が融合していて、もはや一部にすらなっている。
現在ではちょっと考えられない気がするが、当時は最先端だったのかもしれない。

長谷川利行《水泳場》1932年
長谷川利行《水泳場》1932年

長谷川利行《水泳場》1932年
以前見たことがある!とすぐに思い出したが、どこで見たのかを忘れていた。
自分の記事を検索したら、なんてことない同じく板橋区立美術館だった。
以前書いた自分の記事は当時の解説を参考にしたようだが、今回はまったく説明がないので、初めて見た人にしてみたら、理解は難しいのではないだろうか。

古沢岩美《蒼暮》1937年(再制作1982年)
古沢岩美《蒼暮》1937年(再制作1982年)

古沢岩美《蒼暮》1937年(再制作1982年)
いかにもシュルリアリズムな表現。幻想的で不気味な世界観。
人間の体の一部(耳や指など)が風景の中に溶け込み、まったく関係のない何かにつながっている。じっと見れば見るほど不安になってしまうのが、シュルリアリズムらしさ…だろうか。

小川原脩《ヴィナス》1939年(昭和14年)
小川原脩《ヴィナス》1939年(昭和14年)

小川原脩《ヴィナス》1939年(昭和14年)
巻かれているのは昆布。
作者の説明のなかに、北海道生まれで、戦後は北海道で制作と発表を続けたとあったから、もしかすると、昆布はとても身近だったのかもしれない。
また同じく説明にあった「戦時中は従軍画家となる」で思い出した。
以前、東京国立近代美術館で開催されていた展覧会で従軍画家になったことに対する思いを答えていたインタビュー動画を思い出した。

小島信明《無題》1966年
小島信明《無題》1966年

小島信明《無題》1966年
東京国立近代美術館でも似たような作品を観たことがあると思って調べてみたら、やっぱりそうだった。覆っているのは星条旗を思わせる。
この時代、日本とアメリカの関係が微妙な状況であったことも、この作品が制作された背景にあると思われるが、このあたりの解説もやっぱり欲しい。

Posted by ろん