8192 展覧会「ティーカップ・メリーゴーラウンド」

三井記念美術館で開催中の「ティーカップ・メリーゴーラウンド ヨーロッパ陶磁にみるモダンデザイン100年」を観賞。岐阜県現代陶芸美術館のコレクションから、ドイツのマイセン、フランスのセーヴル、イギリスのミントン、デンマークのロイヤル・コペンハーゲン、フィンランドのアラビアなど、各国を代表するティー・ウェアやコーヒー・ウェアなどを紹介している。
ほぼすべて写真撮影可能というのがありがたい。
気になった作品は色々あって紹介しきれないが、そのうちのいくつか…。

マイセン《花島カップ&ソーザー》19世紀後半
あちこちに昆虫たちが描かれているのは、デザインなのかと思ったら、磁器の品質が不均一だった時代に、黒点を隠す目的で描かれたものに由来するのだそうだ。
ここで紹介されている作品は、そうではなく純粋に装飾として描きこまれ、花々にアクセントになっている。

マイセン《ポプリ壺「科学」》19世紀後半
右手に松明、左手に香物を持つ女性はギリシャ神話の知恵を司るアテーナーだそう。足元には知恵の象徴とされるフクロウがいて、地球儀なども置かれている。
高さは1.4メートルにも及び、このサイズはかなり珍しいらしい。

ウェッジウッド《線文コーヒーセット》1938年
いかにもアール・デコらしい装飾で目を引いた。解説のとおり、白磁や黄緑の色調が柔らかな印象を与え、そこにシルパー・ラスターによる直線のデザインが大きなアクセントになっている。量産品の装飾で盛んに用いられたそう。

ロイヤル・ドルトン《狐文コーヒーセット》1950年代
中世フランスの説話集「狐物語」の主人公、ルナールがモチーフだそう。さまざまな姿の狐が描かれていて、把手やソーサーの縁は、狐を追い立てる鞭を表しているとのこと。

ミントン《天使文飾壺》1870年頃
右側の天使からの呼びかけに、左側の少女が両耳をふさいでいる。「あぁ〜聞こえない〜」といった感じだが、これはいったいどういう意図で作られたものだろうか?特に解説はないのだけど、微笑ましく鑑賞するのがいいのか、いろいろ気になる作品。

ロイヤル・コペンハーゲン《北極熊付トレイ》1925年
いまにも海に飛び込もうとする瞬間をとらえている、かなりリアリティのある作品だが、どうしてこれをモチーフにしようとしたのだろう。具体的なトレイとしての使い方にちょっと悩む。

ミヒャエル・ボヴォルニー《ブット付センターピース》1910年頃
「重いものを支える人物像」というモチーフはよく見かける。ここで支えているのは、幼児の姿をした「プット」。なんでこんなことさせられているのだろう…と思ってしまうが、ヨーロッパ伝統のモチーフだから仕方ない。

カジミール・セヴェリノヴィチ・マレーヴィチ《ティーセット》1962年再製作(オリジナル:1923年)
いろいろ研ぎ澄ました結果できあがった造形…みたいな感じのこのティーセットは、旧ソヴィエト連邦のシュプレマティズムと呼ばれる様式によるそう。
これは使いづらそうだと思ったら、こんな話を見つけた。
カップが半分に切られ、片面が真っ直ぐな平面になっていることがわかります。その結果生じる半月は「飲むのに最も不便」であると1926年のロシアの新聞は述べた。
作者本人も言ってるんだから、間違いない。


