8185 開館50周年記念 ウジェーヌ・ブーダン展

新宿のSOMPO美術館で開催中の、開館50周年記念「ウジェーヌ・ブーダン展―瞬間の美学、光の探求」を観賞。
ウジェーヌ・ブーダン(1824-1898)は、フランスのノルマンディー出身の画家で、「印象派の先駆者」と称されているそう。
もちろん?初めて聞く画家だったが、彼は、風刺画で小遣い稼ぎをしていたクロード・モネ(1840-1926)の才能を認め、戸外制作へと誘ったという。
モネは当初あまり関心を示さなかったらしいが、ブーダンの粘り強く勧めた結果、自然の中で素描や油彩を試みるようになり、風刺画家から風景画家となったのだ。

その後、印象派を代表するフランスの画家となったのは誰もが知るところだ。
ブーダンがいなかったら、間違いなくモネは誕生していないし、印象派という芸術の潮流も生まれなかったかもしれないと思うと、ブーダンの存在はものすごく大きいのだ。
フランスの画家、ジャン=バティスト・カミーユ・コローからは「空の王者」とまで言わしめたほどの技術を持ち、実際の作品を観ると、ざっくりした表現なのに、雲、光、潮風を感じさせる空模様の描写が抜群にうまい。
しかし…いかんせん地味だ…地味過ぎる…もっともわかりやすいのが、彼がモネの師匠ということくらいで、特徴的な話題が少ないし、彼の画風自体「穏やかな日常」や「移ろいゆく空と海」といったものだから、鑑賞者を圧倒するようなものでもない…。
そうした存在だったからこそ、モネが慕い、新しい芸術運動が生まれたのだろう。
”空”は、これまで地上の風景を際立たせるための脇役でしかなかったが、ブーダンは空そのものをメインのモチーフとして考えた。
ブーダンは、その空の状態を彼の描く作品のなかに”閉じ込める”ことに成功していると言えるのかもしれない。
ざっくりと描かれているようにも見えるが、これは、筆の運びの速さや、色が重なり合う層の厚みで、その風景を追いかけた結果なのだ。
とっても地味なのに、じっと観ていると、情景のリアリティさが増してくるような気がしてくる。
本展は、「海景」「空」「風景」「建築」「動物」「人物」「素描」「版画」と章立てされていて、ブーダンの画業を紹介している。
最初のフロアのみ写真撮影可能だったので、ここで紹介できた作品は、冒頭の部分だけだ。
これまでまったく意識したことのなかった作家だったが、覚えておこう。



