8168 図らずもSuicaの歴史を辿っていた
10年以上使用していないSuicaは、システム上「使用不可」となってしまう。
実は手元に、そんな状態で眠っていたSuicaが10枚ほどあった。JR東日本の窓口に行けば払い戻しは可能だが、カード自体は回収されてしまう。
せっかくの記念カードだ、できれば使い続けたい。
ネット上で、JR東日本以外の管轄エリアのチャージ機を使えば、非公式ながら復活できるという「裏技」を目にしていた。
先日、長崎へ行く機会を得たので、この復元に挑戦することにした。
JR九州のチャージ機にSuicaを置くと、何事もなかったかのように正常に認識され、チャージもあっさり完了してしまった。
あまりの拍子抜けな展開に、かえって不安になるほどだった。
ただし、最低チャージ額は1,000円。10枚すべてを復活させるには1万円を投じることになる。
10年以上使っていなかったカードにそこまでのコストをかけることに一瞬躊躇したが、復活の”ロマン”を優先することにした。
ところが、意気揚々とバスに乗ろうとした瞬間、無残にもエラーが表示された。別のSuicaでは問題なく乗車できる。
自動販売機でも試したがダメ。しかし、JRの改札だけは通れる。
ただ、一部、自動販売機で使えるSuicaもあった。いったいどういうことだろう?
この不可解な現象を解き明かそうと、駅の窓口で駅員に尋ねてみた。
一生懸命に調べてくれた若い駅員からの回答は、意外なものだった。
これらのカードは「イオカード」の時代のもので、現在のSuicaとは利用範囲や仕様が根本的に異なるのだという。よく見れば、現行のSuicaにはないロゴが刻まれている。
カードによって微妙に異なるロゴの数々は、互換性が保たれていた時代から現在に至るまでの、Suicaが歩んできた歴史の刻印そのものだった。
「復活」を試みたことで、図らずもSuicaの歴史を物理的な形で手元に並べていたことに気づかされた。
Suicaの進化の系譜を語る貴重なアーカイブだった…ということになる。



