7996 展覧会「幕末土佐の天才絵師 絵金」

サントリー美術館で開催中の展覧会「幕末土佐の天才絵師 絵金」を鑑賞。
江戸時代後期高知城下で生まれ、のちに絵師の金蔵=”絵金”として、数多くの”芝居絵屏風”を描き、土佐の人々に慕われた。
絵金の屏風は、現代でも夏祭りの間に神社や商店街の軒下に飾られているという。
今回初めて聞いた絵師だし、もちろん作品も初めてだったが、まず感じたのは、とにかく”圧が強い”ということ。
”芝居絵屏風”は、比較的離れた場所から見る機会が多いことが想定されているから、どうしても派手だし描かれている内容も”どぎつい”。
生々しいシーンがこれでもかと続くのも印象的だ。
そして、展示される状況の性格上、1枚の絵のなかに、できるだけ内容を盛り込む必要があったのだろう。
さまざまな歌舞伎や浄瑠璃の演目が描かれているが、見るのは皆一般の人たちで、彼らもちゃんとこの内容を理解しているということに、あらためてすごいと思った。

毎年7月24日の高知市にある朝倉神社の夏祭りでは、参道をまたぐ山門型の絵馬台が6台組み上げられ拝殿に向かって整列するそうだ。
写真撮影可能な展示室でそれを再現していた。
朝倉といえば、8月に近くを通っていたが、まさかこうした行事があったなんて知らなかった。
写真撮影はできない展示室にあった《紙雛囟》が気になった。
3月3日、女児の健やかな成長を祈る桃の節句に飾る紙雛図は需要が多かったそうで、絵金も描いている。
女雛の鼓に合わせて踊る男雛をよく見ると、飛び切りの笑顔になっている。
おどろおどろしい作品ばかりではなく、こうしたユーモラスあふれる作品も描けるのだ。

