7970 リクライニングなしの衝撃

リニア中央新幹線で使用される最新車両「M10」の座席は、背もたれが固定式で、リクライニングができない仕様になるとのこと。
一応、座席は15度の傾斜がついているようだが、それでも「動かせない」というのはなかなか割り切った設計だ。
リニアの品川―名古屋間は約40分で結ばれる予定だ。
ただ、この40分という時間、飛行機で言えば離陸から上空で安定飛行する時間、そして着陸準備に入るまでの時間とほぼ同じくらい。
飛行機でもこの間はリクライニングを使えないことが多いので、そう考えると「なくても困らない」という判断も納得できるかもしれない。
新幹線ですら「速すぎて旅情がない」と言われることがあるが、リニアはそのさらに先を行く存在だ。
もはや「移動」というより「瞬間移動に近い体験」に近づいてくる感じがする。
今回の発表を見る限り、グリーン車のような上位クラスの座席についての言及はなかった。
ということは、全員が同じ固定式シートに座る可能性もありそうで、「座席の格差」が存在しない点も、かなり特徴的だ。
全員同じ環境に収まって動くというのは、座席がないけど、もはやエレベーターみたいに思えてくる。
リニア中央新幹線の座席が「リクライニングなし」と聞くと違和感があるが、所要時間40分という圧倒的な速さを考えれば、「移動の快適さ」より、いかに「移動そのものを短縮するか」ことに全振りしているのも、リニアらしいといえばリニアらしい。
ただ、建設が遅れに遅れているリニア中央新幹線に、いったいいつになったら乗れるのか…という最大の心配は当分続きそうだ。