7854 MOMATコレクション(2025年2月〜6月)

東京国立近代美術館が所蔵する13,000点超の作品から、会期ごとに約200点を展示する所蔵作品展。
2月〜6月期の今回も、いろいろ見どころは多かった。
今日は、お客さんがいつも以上に多かった気がする。

川端龍子《新樹の曲》は、造園学校を卒業して造園家として独り立ちをする川端龍子の三男にプレゼントとして制作した作品だそう。
さすが近代日本画の巨匠と称されるだけある。
日本画でありながら、リズミカルというか幾何学的な画面構成は、かなり新鮮に映る。

《渓四題》という作品のうち、手前の《雨後》に注目。
解説に書いてあって、たしかに…と思ったのが「山水面としては異色の青く塗られた空が印象的」というところ。
山水画は、たいてい曇ってたり、もやってる印象があるから、空が青いというのは、ちょっと意外かも。
シュルレアリスム100年ということで小特集があった。
《独活》も《眼のある風景》もどちらも印象的で、どちらも以前どこかで観たことがあるのは間違いないのだけど、どこで観たのか、まったく思い出せない。
《独活》は、まったくデフォルメなしで、人みたいな姿になっているところがおもしろいし、《眼のある風景》のようにどこかに”眼”があるだけで、それだけで不安になるのを感じる。
東京近郊で撮影された風景の数々。
タイトルの「既視」とは作者自身が「既に視た」のか、それとも誰かが「既に視た」のか…そして、このうち間違いなく、自分の知っている光景があって、ちょっとビックリ。
王子駅前の音無親水公園ができる前の写真、そして、JR埼京線板橋駅に貨物ヤードがあったころの写真だ。
どちらも初めて見た写真だったから、とても興味深かった。
なお、この達作を撮った渡辺療人は、以前東京都写真美術館で鑑賞したウジェーヌ・アジェを意識したという。

文展での落選が続いて苦んだ德岡神泉が、神秘と遇することに活路を見出そうとしたろいう。
「『いやな世界』のもっているすご味をだしたかった」と言ってた時期に描かれたこの作品。
コンプライアンス的な問題もありそうな雰囲気。

先日行ったアーティゾン美術館の企画展で鑑賞したジャン(ハンス)・アルプの小特集をやっていた。
この作品のタイトルは《確固たる地位》というものだが、いったいこれのどこがその意味を表しているんだろう?

合板の骨組みに天然ゴムを何層にも塗り重ねた浴槽のような箱。
かつて展示されていた作品だったが、漏水が見られたため1年にわたって修復が行われたという。
そもそも水が流れる作品自体かなり珍しい。