どっちがどっち まぎらわしい生きものたち/梁井貴史(著)、金子貴富(イラスト)
- どっちがどっち まぎらわしい生きものたち
- 梁井貴史(著)、金子貴富(イラスト)
- さくら舎 (2021/8/11)
本書は、大きく2つのパートに分かれている。
まずPart1では、見かけとか名前が似ているのだけど、実際はまったくと言っていいほど違う種類の生きものを紹介している。
別の種類の生きものであっても、比較的近い姿をしている場合は、生活する環境が近いことも多いし、見比べる機会なんてまずないから、よけい紛らわしい。
たとえば「ムササビ」と「モモンガ」とか、「アフリカゾウ」と「アジアゾウ」だったら、まず大きさがかなり違っているだろうな…くらいはわかるが、「ウミウシ」と「アメフラシ」なんて言われても、さっぱりだ。前者はカラフルで毒を持ち肉食、後者は地味な色で無毒で草食のようだ。
各項目では、生きものたちのイラストに特徴の説明があり、生態や見分け方、命名の由来などさまざまなエピソードを紹介している。
Part1では、そんな感じで2種類の生きものたちを並べて60組近く紹介している。
Part2は同じ名前なのにまったく違う生きものだったり、誤った命名だった…といった生きものの名前にちなんだエピソードを紹介している。
イノシシ(哺乳類・魚類)、カジカ(魚類・両生類)、カマキリ(昆虫・魚類)、クマ(哺乳類・甲殻類)など、同じ名前でまったく違う生きものはけっこういるようだ。
あまりにち違うので紛らわしくはないけど、やっぱり紛らわしい。
カニではないのにタラバガニ(ヤドカリの仲間)とか、アカトンボという種類のトンボはいないあたりは知っていたが、シロサイは、本当は口が横に広い(wide)というところを、誤って白(white)としてしまったために名付けられたなんて、初めて知った。
変わった名前の、トゲアリトゲナシトゲトゲ、タツノイトコ、タツノハトコなど、いろいろ検索して調べてみたくなる名前もあって、なかなか読み進めるのに時間がかかってしまった。
図解よりも多くが文章での説明となっていて、しかも文字サイズが小さめなのでとっつきにくいかな…と思いきや、むしろかなり軽い語り口で、とても読みやすい。
そういう意味では、本書は読み物のような感じで、おもしろかった。