7831 国際博物館の日で東京国立博物館に行ってきた
今日は「国際博物館の日」ということで、東京国立博物館の常設展が無料で鑑賞できるとあって行ってきた。
上野駅公園口は相変わらずの人の数で、それはそのまま、上野公園まで続いていた。
東京国立博物館の入口では、企画展は有料だが常設展は無料との説明があった。
東京国立博物館には、ときどき来るものの、いつも鑑賞途中で疲れてしまって、観たことがない展示ばかりになってるので、今日は対象を絞って観ることにした。
まずは入ったことのない東洋館へ。

まず向かったのが、東洋館B1Fの13室。
ここで鑑賞したのは、16世紀から19世和に描かれたインド細密画だ。
これは、以前府中市美術館でも鑑賞しているので、すこし”おさらい”のよう。
相変わらず目力(めぢから)がすごいが、この作品に描かれる王は、幼少期に左眼の視力を失っていて、それを忠実に描いているという。
次は、東洋館5Fの9室。
中国の漆工と清時代の工芸を鑑賞。
厚く塗り固めた漆の層に文様を彫り込んだ「堆黒(ついこく)」という技法で作られている。
よく見ると、月にうさぎが描かれている。
もう一点気になったのは《屈輪堆黑盆》というもので、「ぐりついこくぼん」と読む。
「クリクリ」という語感が文様の名称になったそうだ。
14世紀の中国でも、そういう語感があるのかと驚く。

本館の裏手にある平成館も、これまで行ったことがなかった。今日鑑賞しようとしているのは、特集「新版画―世界を魅了する木版画―」というもの。
大正から昭和初期に、伝統的な木版画の技法で浮世絵に代わる新しい版画のことを「新版画」と呼ばれた。
そうした新版画を紹介する特集。
浮世絵でもないし、日本画でもなく、洋画でもない独特な魅力を感じる。

吉田博の帆舩の連作は、版の色を変えることで、水阪に映る光や空の色が刻々と変わる様子が再現されている。
こうした表現ができるのは、版画ならでは…というか、版画でしかできない芸当だ。

1952年(昭和27年)、文部省文化財保設委員会は木版画技術記録事業として制作記録を残すことになり、その対象のひとつとして、川瀬巴水の「増上寺之雪」が選ばれた。
東京国立博物館には、その版木、原作画など、制作過程の一式が残っているそう。
摺り工程は実に42回にも及ぶ大作だ。
続いて鑑賞したのは「博物館でゾウめぐり」という企画。ゾウは、その身体的特徴もあって人間との関わりの多い動物だ。
ゾウは、古くから人間の心を捉えてきた。
ここでは、東京国立博物館が所蔵するゾウ作品の数々が紹介されている。
中国では、ゾウを洗うという習慣があるそう。
象牙作品もゾウとの関わりを示すものだ。
高円宮コレクションの根付は、展示作品の入れ替えがあって、見るたびに興味深い。
幽霊なんて初めて見た。幽霊を根付にするという発想がすごい。

数は決して多くはないが、それでも浮世絵の歴史を俯瞰できるほどの、重要な作家の作品がずらりと並ぶ。
浮世絵の祖ともいえる菱川師宣やり正確な透視遠近法を描いた歌川派の祖となる歌川豊春など、浮世絵を鑑賞するときには、決して欠かしてはいけない作者たちが紹介されている。
最後は、襖絵だ。
円山応挙らしいじゃれあう子犬は、観ているだけで笑ってしまいそうになる。
同じ感覚を応挙はもちろん、当時の時代の人も感じたんだろうな…と思うと、ちょっと楽しい。