7781 黒田記念館

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上野には何度も来ているが、この「黒田記念館」に来たのは初めてかもしれない。

日本近代洋画の父ともいわれる黒田清輝は、「遺産の一部を美術の奨励事業に役立てるように」と遺言に残し、それを受けて1928年(昭和3年)年に、この黒田記念館は竣工している。

黒田記念館
黒田記念館
1928年(昭和3年)竣工
1928年(昭和3年)竣工

玄関ホールの上部に、小さな3つの丸い窓が並んでいる。

ちょっとしたアクセントになっている。

バリアフリーは程遠い時代
バリアフリーは程遠い時代
レトロ感いっぱい
レトロ感いっぱい

郵便受けを見ると、人の顔があって郵便受けの口を両手で持つような仕草をしている。

これは日本ではあまり考えられないユニークなデザインだと思う。

アール・ヌーヴォーらしさも感じられる手すりもあった。

ユニークな郵便受け
ユニークな郵便受け
アール・ヌーヴォーを感じさせる
アール・ヌーヴォーを感じさせる

今日訪れたのは、年3回しか開かれない特別室の開館日だったからだ。

この特別室は、国の重要文化財に指定されている《湖畔》(1897年)、《読書》(1891年)、《舞妓》(1893年)、《智・感・情》(1899年)の4点、年間3回の限られた期間に展示するためだけに使われるとのこと。

なんと贅沢。

年3回しか開かない特別室
年3回しか開かない特別室
《湖畔》(1897年)
《湖畔》(1897年)
黒田記念室
黒田記念室

特別室の反対側には、ふだんも公開している展示室があって、さまざまな黒田清輝の作品が展示されている。

特に詳細な解説などがあるわけではないので、表面をなぞるようにしてしか鑑賞できてないような気がする。

それに、正直言って、こうした彼だけのための記念館が建つほど、ずば抜けた見事さみたいなものは、なかなか感じられず…。

このあたりは彼が生きた”時代”も味方したところもあるのかもしれない。

作品以上に気になったのは、建物の見ごたえだった。

黒田の作品を鑑賞できる
黒田の作品を鑑賞できる
天井もすごい
天井もすごい
旧博物館動物園駅
旧博物館動物園駅

黒田記念館の前の道路の真下を京成電鉄本線が通っている。記念館の中では、電車が通るたびに、建物全体が響いて、振動もすごい。

まるで目の前か、頭上を電車が走っているかのようだった。

かつてあった京成電鉄の旧博物館動物園駅は、黒田記念館の目と鼻の先だ。

もしこの駅が営業していたら、駅から徒歩30秒くらいだったはずだ。

Posted by ろん