7780 第80回 春の院展
「院展」は「日本美術院」が主催する公募展で、一般からも作品を募集して選ばれた入選作300点以上展示されている。
会場は3つに分かれていて、ここへ来て知ったのだが、有料エリアは最初の第1会場のみで、あとは無料となっていた。
展示されている作品の数がこれだけ多いと、いろいろなタイプの作品を鑑賞することができるが、正直「これは!」という感じの作品はなかったように感じた。
また、日本美術院の最高位に位置する“同人”と呼ばれる人たちの作品となれば、かなりのレベル…となるはずだが、素人の自分にはあまりそれが感じられるものはなかった。
いいなと思うのは、日常から一瞬を切り取ったような風景とか、「こんな見方があったか!」と思えるような意外な風景などだ。
おそらく鉄道のガード下のあいだからちらっと見える風景だとか、用水路の水面がまるで鏡のように風景を映し出す瞬間だとか、そういえばこういう風景あるよなぁ…と思わせる作品は、ちょっと気になる。
どこかに注目して、そこだけ切り取るのも、おもしろい。
ふだんは、大きな風景のなかに紛れ込んでいるが、あえて一部にフォーカスを当てると、見ているようで見ていなかった景色が見えてくる。

以前、”無題”というタイトルについて触れたことがあったが、作品とタイトルは切っても切れないものだと思う。見る人に「勝手に読み取って(感じて)」というのもわからなくはないのだけど、やっぱり作者の思いを具体的に知りたい。
タイトルは、具体的に知る唯一の方法だ。
この作品は、水たまりにできた雨の波紋を銀河に見立てたことをタイトルで知り、なるほど!と共感。
さまざまなモチーフがあるが、なんとなく…だけど、”猫率”は高い気がする…取り上げやすいからだろうか。
あと、今回はハトが目立つ気がした…こちらも身近といえば身近だ。
個人的な感覚として、人物がモチーフとなる作品でしっくりくるものは少ない。