7780 第80回 春の院展

博物館・展覧会,芸術・デザイン

日本橋三越本展で開催中の「第80回 春の院展」を鑑賞。

「院展」は「日本美術院」が主催する公募展で、一般からも作品を募集して選ばれた入選作300点以上展示されている。

会場は3つに分かれていて、ここへ来て知ったのだが、有料エリアは最初の第1会場のみで、あとは無料となっていた。

春の院展
春の院展
会場は3つ
会場は3つ

展示されている作品の数がこれだけ多いと、いろいろなタイプの作品を鑑賞することができるが、正直「これは!」という感じの作品はなかったように感じた。

また、日本美術院の最高位に位置する“同人”と呼ばれる人たちの作品となれば、かなりのレベル…となるはずだが、素人の自分にはあまりそれが感じられるものはなかった。

いいなと思うのは、日常から一瞬を切り取ったような風景とか、「こんな見方があったか!」と思えるような意外な風景などだ。
岩波昭彦《眩》
岩波昭彦《眩》
岩谷晃太《線の交錯》
岩谷晃太《線の交錯》

おそらく鉄道のガード下のあいだからちらっと見える風景だとか、用水路の水面がまるで鏡のように風景を映し出す瞬間だとか、そういえばこういう風景あるよなぁ…と思わせる作品は、ちょっと気になる。

田島亨《Pizzicato》
田島亨《Pizzicato》
浜口和之《ある日》
浜口和之《ある日》

どこかに注目して、そこだけ切り取るのも、おもしろい。

ふだんは、大きな風景のなかに紛れ込んでいるが、あえて一部にフォーカスを当てると、見ているようで見ていなかった景色が見えてくる。

塩井純子《蔵戸》
塩井純子《蔵戸》
河野哲也《歳月過ぎ行く》
河野哲也《歳月過ぎ行く》
佐藤悟《雨銀河》
佐藤悟《雨銀河》

以前、”無題”というタイトルについて触れたことがあったが、作品とタイトルは切っても切れないものだと思う。見る人に「勝手に読み取って(感じて)」というのもわからなくはないのだけど、やっぱり作者の思いを具体的に知りたい。

タイトルは、具体的に知る唯一の方法だ。

この作品は、水たまりにできた雨の波紋を銀河に見立てたことをタイトルで知り、なるほど!と共感。

さまざまなモチーフがあるが、なんとなく…だけど、”猫率”は高い気がする…取り上げやすいからだろうか。

あと、今回はハトが目立つ気がした…こちらも身近といえば身近だ。

個人的な感覚として、人物がモチーフとなる作品でしっくりくるものは少ない。

岸本浩希《夜光》
岸本浩希《夜光》

あくまでも自分の感覚だが、人間を含め動物がモチーフになると、それだけで情報量が多くなりがちで、そちらに意識が向いてしまう気がする。また、意外と多いと感じたのは、鉄道だ。

まぁ鉄道だって、どこの場所を描いたのか?とか、車両の形式だとか気になるという点で、情報量が多いわけだが、それはあまり気にならなかったりする。

単に自分の好きなジャンルが、風景画だということだけなのかもしれない。

小田野尚之《駅》
小田野尚之《駅》
青江律《休息》
青江律《休息》

Posted by ろん