7766 展覧会「北欧のあかり展」

日本橋高島屋で開催中の展覧会「北欧のあかり展」を鑑賞。
北欧にスポットを当てた企画は、これまで何度となく観ているが、飽きることはなく、見慣れているだけに、むしろ、また出会った…みたいな、安心感すらある。
今回もそんな展覧会だった。

まず、冒頭に北欧のあかりを知るための8つのキーワードが紹介されていた。
1.明るさを良しとして受け入れる
2.暖かみのある色のあかりを好む
3.あかりは低いところに置く
4.必要なところにはしっかりと明るさを
5.眩しさを避け、緩やかなグラデーションを。
6.窓辺のあかりで風景との調和を楽しむ
7.野外であかりを灯し、暮らしの一部に
8.キャンドルとともに暮らす
こうした考え方が一貫しているところが、”北欧らしさ”につながっているのだろう。
展覧会の名称が「北欧のあかり」となっているが、その中心は、デンマークのデザイナー、ポール・ヘニングセンだった。
彼は、デザイナーにとどまらず、批評家、建築家、デザイナー、映画監督、作詞家など、さまざまな分野でマルチに活躍した。
そんな彼が1927年「近代照明の三原則」を提唱する。
1.完全にグレア(眩しさ)を取り除くこと
2.必要な場所に適切に光を導くこと
3.用途や雰囲気作りに応じて、適切な色の光を用いること
北欧照明の最高傑作と言っても過言ではない、PH5はこの原則に原則に則したものになるのだけど…。

本展の前半では、特にPHランプについて詳細な解説があって、興味深かった。
まず、PHランプのプロトタイプともいえる「パリランプ」というのがあったという、
これは、1925年4月に開催されたパリ万国博覧会に出品するために数多くのランプをデザインしたうちのひとつだった。
このパリランプ、6枚シェードは枚数が多すぎたようで光のロスが大きく、また鏡面仕上げのシェードによる眩しさ問題だったそう。
つまりこの段階では、前述の三原則が満たされていない。
それを解決したのが、3枚シェードのPHランプシリーズとなる。
この完成をもって、三原則の提唱になったのだろう。

PHシリーズを詳しく見たあとは、ほかのさまざまな照明が紹介されていた。
デンマークの建築家 P.V. イェンセン・クリントが日本の折り紙をヒントにしたというペンダントランプは、言われてみると、たしかに折り紙を思い起こさせる。
以前北欧で撮った写真を調べたら、ここで紹介されているものと同じものだった。

ちょっとユニークだなと感じたのは、照明器具の名前。
「ビルベリー(コケモモ)」とか「ターニップ(カブ)」とか…円筒形を組み合わせた形状から「ハンドグレネード(手榴弾)」と名付けられたり…。
ヘルシンキ中央駅の写真もあったので、自分ではどんな写真を撮っていたのかと思って検索してみたら、窓の方は改修工事中のようだったが、照明器具はそのまま同じだった。
会場内には、休憩と動画上映を兼ねた場所が設けられ、そこには、ポール・ヘニングセンの言葉が掲げられていた。
どの言葉も印象的だ。
人々は、装飾を心地よさと勘違いするが、心地よさをつくるのは照明であり、
装飾ではないと分るようになる。
すごい自信にも思えるが、こうして多くの北欧のあかりと接してくると、たしかにそうだよなぁ…と実感せずにはいられない。
それにしても、北欧の展示は人気が高い。
特に若い人たちの姿が多いように感じる。