7628 手塚雄二展 雲は龍に従う
横浜のそごう美術館で開催中の「手塚雄二展 雲は龍に従う」を鑑賞。
すべての作品撮影可能。
入ってすぐのところに、今回の展覧会最大の目玉作品の展示「東叡山寛永寺根本中堂 奉納天井絵《叡嶽双龍》」がある。
来年天井に掲げられる作品が床に平置きされ、見学台から作品全体を一望できるようになっている。
6m × 12m という巨大な作品だから、高いところから見ても、すべてを見切れない感じ。
展覧会最後のほうに展示されている小下図と見比べる。
迫り来る龍の”圧”がすごい。
400年前の天井の板に直接描いているのだという。
金泥や金箔、プラチナ泥をふんだんに使い、龍の手にはラピズラズリを用いた梵字が描かれている。
来年はもう寛永寺根本中堂の天井に設置されて、こんなに間近で見ることはできなくなる。
今回の展覧会で初めて知った作家だったので、これまでどういった作品を描いているのか、まったく知らなかった。
だから《叡嶽双龍》のような激しい動きのある作品が多いのかと思ったら、むしろ逆で、とても静かで穏やかな作品が多い感じだった。
《雷神雷雲》も《叡嶽双龍》のような激しい作品だが、その前後には、静寂が支配する世界が描かれた作品が続く。
静と動、光と影という、それぞれの世界を見事に描き上げているなぁ…と感じる。
静でもまったく動きがないわけではなく、わずかな動き…たとえば、鳥や蝶の羽ばたき、波の揺らめき、風の騒めき、光の揺らぎ…といった、本当に微かではあるkが、そうした変化は逃さずに描いているように見える。
日本画は素人とはいえ、いろいろと美術展を見てきたが、彼の名前は知らなかった。これだけの作品を生み出すのだから、どこかで見ていてもよさそうなのに。
これまでの実績を振り返る年表があって、それを見ると、なぜか個展の開催が百貨店ばかりだったことがわかった。
美術展の紹介するサイトでは、どうしても専門の美術館が優先され、百貨店併設の美術館や催事場で催される美術展が積極的に紹介されづらい傾向にあるから、なかなか目に触れる機会が少ないのかもしれない。