7613 陸軍板橋火薬製造所跡見学(旧野口研究所)

建築・都市,歴史・地理

いま全国で「近代化遺産全国一斉公開」という事業が行われている。

その一環で、板橋区にある国史跡「陸軍板橋火薬製造所跡」が特別公開されるということで見に行ってきた。

以前から気にはなっていた場所だが、これまで一切公開されていなかったので、楽しみにしていた企画だった。

解説ツアーの始まる時間になると、大勢の人たちが集まってきた。

解説ツアーには大勢の人たちが集まった
解説ツアーには大勢の人たちが集まった
発射室に続く弾道管
発射室に続く弾道管

陸軍板橋火薬製造所の火薬研究所は、弾薬の性能実験などが行われたという。

使われなくなってからは、途中が切り取られてしまっているようだが、長さが十数メートル、内径686mmのコンクリート製の弾道管は、この施設を特徴づけるものだ。

弾道管を覗き込む
弾道管を覗き込む
弾道管に付いた碍子
弾道管に付いた碍子

「爆薬製造実験室」と呼ばれる建物は、以前からこの場所にあったのではなく、現在マンションにあった場所から曳家によって移動されたという。

銃器庫
銃器庫
爆薬製造実験室
爆薬製造実験室
加温貯蔵室
加温貯蔵室

ここにある建物は、ほとんどが謎が多いという。

そもそも、建物の名前にもなっている”加温貯蔵”とはいったい何なのか?…これすら分かってないというのだ。

マンション建設にともなって曳屋までした建物だって、本当にそれだけの価値があるのかどうかもわからないと言っても過言ではなさそうだ。

解説の方の話によれば、建物のあちこちの痕跡からその用途を類推していたが、あとから見つかった資料によれば、それは終戦後の改造によるものかもしれない…となると、類推が誤っていることになる。

燃焼実験室
燃焼実験室

軍事施設は、とにかく秘密が多く、分かっているのは、建物の名前とその建物の状態しかないのだ。

それだけに価値を見出し、後世に伝えることの難しさを感じる。

燃焼実験室に入れるようになっていた。

天井は高く、ちょっとひんやりとしている。

燃焼実験室の廊下
燃焼実験室の廊下
人造石研ぎ出し仕上げ
人造石研ぎ出し仕上げ

2階に上がると、広々とした部屋があるが、これがいったい何の用途で使われていたか、よく分かっていないようだ。

外を見渡せるようになっていて、見晴らしがいい。

燃焼実験室の2階
燃焼実験室の2階
燃焼実験室の2階からの風景
燃焼実験室の2階からの風景
軽便鉄道線路敷
軽便鉄道線路敷

以前から気になっていた、軽便鉄道の線路敷も見ることができた。教えてもらえなければ、まったくわからないほどだ。

板橋区はこのあたり一帯を、史跡公園として再整備するということなので、その際には、ぜひ再現してもらえるといいなと思った。

午後の旧理化学研究所板橋支所の公開を待つことにしよう。

 

Posted by ろん