7563 特別展「没後25年記念 東山魁夷と日本の夏」

博物館・展覧会,芸術・デザイン

山種美術館で特別展「没後25年記念 東山魁夷と日本の夏」を鑑賞。

今日は入口付近から、ちょっと違和感があったが、館内に入ってみると、受付にものすごい人が行列を作っていてびっくりした。

ここまで人が多いのは初めて。

理由を検索してみると、どうやら昨日朝の情報番組で放送されたことが理由らしい。

山種美術館へ
山種美術館へ
入口ロビーから混雑
入口ロビーから混雑
《緑潤う》
《緑潤う》

原則として写真撮影不可だが、1枚だけ許可されるのが通例で、今回は《緑潤う》という作品が対象だった。この作品について調べようと、あとから検索したら、かなりの高額で売買されていることがわかった。

あれ? ではさっき見た作品と何が違うのか?と思ったら、売買されているのは、すべてリトグラフだった。

同一の作品で肉筆画とリトグラフがあるってこと?

さらに、いろいろ検索してみたが、よくわからないままだった。

さて、今回の特別展でもっとも印象深い作品は、やはり《満ち来る潮》だった。

幅9メートルに圧倒される。

波はプラチナ箔が使われていて見る位置によって、光り方や色が変わるので、とてもリアル。

正面からだと反射して光っているし、斜めからだとちょっとくすんだグレーになって、それはまるで本当の波のようだった。

左上部に方には、金箔を使ったところは、光にも波にも見える。

この作品は、皇居新宮殿にある魁夷の障壁画《朝明けの潮》を見た山種美術館初代館長の山崎種二が、この壁画を偲ぶことのできる作品を一般の人々の気軽に見られる場所にも描いてほしいと頼んだことがきっかけで生まれた。

頼まれた魁夷は、、初めは引き受けるのを躊躇ったという。

同じ構図では差し障りもあるし、描く場合情熱も湧いて来ない。またあまりに違うものになっては、依頼の趣旨にそむく。

宮殿の壁画が、ゆったりとした波の動きを描いたものに対して、満ちてくる波が、岩にしぶきを上げる動的な構図を考えついたことで、描く意欲が生まれたそうだ。

当時山種証券の経営者であった山崎種二にも配慮して、「上げ潮」「満ちる」を主題にしたそうだ。

ここで気になったのは、この作品が誕生するきっかけとなった、皇居宮殿の《朝明けの潮》が紹介されていなかったことだった。

結局、手元のスマートフォンで調べることになったが、ちょっとしたパネルでも良いので用意してくれたらよかったのにと思った。

他にも特別展のタイトル通り、涼しげで夏らしい良い作品は多数あったが、今回あまりにお客さんが多すぎて、ゆっくりと鑑賞できなかったのは、ちょっと残念。

Posted by ろん