7544 「斎藤文夫コレクション名品展」
今日は初めて「川崎浮世絵ギャラリー」に行って「川崎市市制100周年記念 斎藤文夫コレクション名品展」を鑑賞する。
案内を見たら川崎駅前すぐって書いてあったのに、最初どこかわからず、ちょっと迷いそうになってしまった。
ギャラリーと名乗るだけあって、かなりこぢんまりとしている。
会議室を転用したような雰囲気だけど、全体的に作品との距離がとても近いので、間近で鑑賞ができる。
第1章では、葛飾北斎、喜多川歌麿など、錦絵の誕生から浮世絵の黄金期の作品まを紹介している。葛飾北斎《富嶽三十六景》から《神奈川沖浪裏》は、いまもっとも見られている浮世絵といっても過言ではないほどだ。
ここで気になったのは…
鳥居清長《女湯》
ずいぶん詳細に描かれているんだと思った。当然取材をしているのだろうが、どんなふうに協力してもらっているのだろう?
喜多川歌麿《柿もぎ》
表情は、いかにも美人絵らしい“浮世絵顔”だけど、柿をもぐという目的に、みんなで協力している光景はなんとも微笑ましい。
第2章は、自分にとってはおなじみ?の歌川広重《名所江戸百景》や先日も鑑賞したばかりの月岡芳年《月百姿》、練馬区美術館で知った小林清親、町田市立国際版画美術館で知った揚州周延など、幕末から明治期の名品の紹介。
ここで特に気になったのは…
葛飾北斎《諸国名橋奇覧》より《飛越の堺つりはし》
日本全国の珍しい橋をモチーフとしていて、そのうちのこれは、飛騨と越中の境(現在の岐阜県と富山県の境)に架かる吊り橋を描いているとのこと。
ただ、実際にあった橋かどうかは定かではないそうで、かなり“盛って”そうだ。
葛飾北斎《琉球八景》
グスクの石垣やヤシの木、瓦屋根など、行ったこともないのに、琉球らしさを随所に感じさせる一方、なぜか、富士山っぽい山を描き込んでしまうところがおもしろい。北斎が、こんな作品まで作っていたなんて知らなかった。
川崎市ならではといった作品もあった。
小林清親《川崎月海》
月明かりに照らされた軍艦から砲弾が発射されるという光景は、明と暗、静と動、が居合わせるような不思議な雰囲気を感じる。
三代歌川広重《六郷川蒸気車往返之全図》
明治初期に六郷川下流から眺めた風景。最新鋭の蒸気機関車をはじめ当時の川の往来がわかる。
ごちゃごちゃした感雰囲気が、時代が変わっていく過程が描かれている感じがする。