7538 「収蔵品”花と果物”×絵本作家・荒井真紀=かんさつのじかん」
今日は、武蔵野市吉祥寺美術館で開催中の「収蔵品”花と果物”×絵本作家・荒井真紀=かんさつのじかん」を鑑賞。
ノンフィクション絵本画家・荒井真紀が植物を描き始めたのは、師である超細密画家・熊田千佳慕に弟子入りしたことだそうだ。
技法よりも生き方や絵を描く姿勢を学んだということだった。
彼の展覧会はずいぶん前に観に行ったことがあって、この時自分もこの言葉に感銘を受けていた。
虫や花たちは今日を悔やんだり、明日を思い悩んだりせず、今この瞬間だけを懸命に生きている
残念ながら展覧会で紹介されている写真撮影はできなかったが、入口で一部の作品のみ可能だった。
「生命の循環」をテーマにした三部作の一作目は、「あさがお」(2011年06月)だった。
”たね”から芽が出て、花が咲き、また”たね”ができるまでを描いている。
あさがおを題材として選んだのは、生態が子供にとってわかりやすいと考えたからだそうだ。
たしかに夏休みの観察日記の定番だ。
ただ、いま振り返って考えると、花を咲かせるまでが目標になっていた気がする。
あさがおを描くにしても、対象は花であって、ここで描かれるような枯れてたねになったあさがおなんて見たことがなかった。
「ひまわり』(2013年06月)では、たねのひとつひとつをずらりと並べて丁寧に描いているのが印象的だった。
どれひとつ同じ色や形をしていないのだ。
当たり前なのだけど、こうして目の当たりにすると、あらためて実感させられる。
「たんぽぽ」(2015年03月)をはじめ、絵本を一冊仕上げるのに色をつけるだけでも1年はかかるのだという。
植物の生態をできるだけ正確に伝えたい…という思いの強さを感じさせられる。
さまざまな花や果物などが紹介されていたが、どれも身近なのに、こんなにじっくりと見たことはなかった。
観察をし続けることで見えてくること、理解できることがある。
写真ではなく、こうして描かれるからこそ、わかることがあるかもしれない。