7536 「田中達也展 みたてのくみたて MINIATURE LIFE MITATE MIND」
「田中達也展 みたてのくみたて MINIATURE LIFE MITATE MIND」を鑑賞のため、日本橋高島屋へ。
17時ごろに着いたが、かなり混雑しているようだったので、少し時間をおいて、18時ごろに再訪すると、だいぶお客さんも減っていた。
ミニチュアの視点で日常にある物を別の物に見立てたさまざまな作品が紹介されている。
彼の作品は、2017年9月に新宿高島屋で開催していた展覧会以来の鑑賞以来だが、とてもよく覚えている。
今回も全作品が写真撮影可能だったから、来場者の人たちは思い思いに写真を撮っていた。
この写真撮影はけっこう難しい。
作品のおもしろさもさることながら、独特な”ダジャレタイトル”もおもしろい。
なるほど、そういう見方もあるか…という驚きの連続だ。
《おしっこの切れが悪い》は、実際の展示はなかったが、レディメイド(=既製品を用いたアート表現)というジャンルとのこと。そして、この原点にもなっているのが、マルセル・デュシャンが1917年に発表した「泉」という作品だそうだ。
一般的な普通の男性用便器に、題名と署名入れて展覧会に持ち込まれたとたん、本来の用途から解き放たれ”オブジェ”になるという主張に当時物議を醸したという。
実際、このように既製品には、ほとんど手を加わっていないのに、セロハンテープのカッターと小便小僧が並べられるだけで、個性的な作品ができあがるのだ。
巻き寿司の具材が円グラフになったり…。
ネギが弓道の的になったり…。
飛行機で窓から入る日差しを遮るために「シェード」があるが、それを思わせるのがこれ。
よく考えると、実際にはこんな状態になっていないのに、ちっともおかしく感じないのが不思議。
タイトルと実際の作品を見ると、きっとこの語感をきっかけに作ったんだろうな…と思って解説を読んだら、本当にそうだった。オーケストラのことを”オケ”と略すのは聞いたことがあったので、自分もイメージできた。
長いく続くものを見ると列車を思いつくのは自分もそう。
でも、ジーンズのほつれで白くなったところを海の波にしてしまうところには驚く。
写真の撮り方次第で、それらしく見えてしまうのもおもしろい。
近づいてみると、もう巨大な波にしか見えない。
黄金色に染まった田園風景のようにみえるこれは…
ニットの上だった。
飛行機に乗っていると、整然と並んだ空港施設や港湾施設が、まるで基盤のように見えていたことをあらためて思い出したし、巻貝もなんだかろくろで作られた芸術品のように見えてくる。観賞していると、あぁ!そういえば…と思うことも多い。
セロハンテープの作品に通じるような作品で、ルーズリーフの脇に人形を置いただけでも、ドラマができるのがおもしろい。
そして、本当の?ブラックジャックが、手術を受けるというのも、いったいどういう場面なんだろう…と、想像が膨らむ。
どの作品も、興味深くて、ついつい、かなりの写真を撮ってしまった。
ただ前述の通り、写真は結構難しく、自分で撮った写真だと、やはり作品の良さが伝わりにくいのだ。
そういう意味では、作者の撮った写真を楽しんだり、実際の作品を見て楽しむのに徹したほうがいいのかもしれない。