7530 「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」
「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」を鑑賞。
竹久夢二は、正規の美術教育を受けることなく独学で自身の画風を確立し、「夢二式」と称される叙情的な美人画によって人気を博した。
憂いを帯びた表情、うりざね顔に細長くしなやかな肢体、大きな眼…といったところが特徴だそう。
素人の自分がいうのも憚られるが、この夢二式の美人画が、正直“上手い絵”という感じはしないし、どこかとっつきにくい。
でも、ものすごく印象に残るのも事実。
《宝船(やなぎや版)》
「宝船」といえば、宝尽くしや七福神が一般的だが、夢二が表現した「宝船」はまったく違う。
小さな船に向かい合う男女。船首にはハート (命)、帆には鎌(かま)と腕(わん)で、「お前と一緒なら命もかまわん」という意味が込められているそうだ。
解説にあったからわかったけど、一般の人が何も知らずにこの作品を見て、この絵に込められた意味が分かるものだろうか?
一部の作品やタペストリーなどに限って写真撮影が可能となっている。
前述の通り、どこか印象に残る作品が多いと思うのは、”夢二式”によるところが大きいのだろうが、気になるのは、描かれる女性の手や腕の大きさや形が、かなり”自由”であることだ。
写真撮影ができない作品だったが、《稲荷山》は、よく見ると腕の位置が異常だし、《初恋》は、どう見ても手の大きさがおかしい。
でも、そういうことを超越させてしまうのが、竹久夢二の作品の魅力なのかもしれない。
最後に紹介されていたこの作品。
竹久夢二らしさが存分に表れているし、富士山も加わって、”いかにも”日本らしいじゃないかと思った。
で、解説を読んだら、夢二自身も「自分一生涯における総くくりの女だ。ミス・ニッポンだよ」と語ったとのこと。
今回、さまざまな夢二の作品を鑑賞したことで、これまでちょっととっつきにくい感じがしていた彼の作品が、少し身近に感じられるようになった気がする。