7470 展覧会「青山悟 刺繍少年 フォーエバー」

博物館・展覧会,芸術・デザイン

目黒区美術館で開催中の「青山悟 刺繍少年 フォーエバー」を鑑賞。

入ってすぐのところで、作者本人が作品を制作していた。

なぜかタイムカードも公開していたのが不思議だったが、鑑賞していくと、労働は本展のテーマのひとつだったことがわかる。

目黒区美術館「青山悟 刺繍少年 フォーエバー」
目黒区美術館「青山悟 刺繍少年 フォーエバー」
作者本人が制作中
作者本人が制作中
”あおりモンスター”には笑った
”あおりモンスター”には笑った

目黒区立五本木小学校5年生の生徒たちがワークショップで描いた絵とそれをもとに作られたパッチワークの作品があった。

子どもたちの絵はどれも興味深く、こうした内容から、子供たちがどのように世の中を見ているのかがわかっておもしろい。

《Good Night, Good Night, OurTown》
《Good Night, lasix 40mg 3chfa.com Good Night, OurTown》
《Defeat the Common Sense Monster! 常識モンスターをやっつけろ!》
《Defeat the jeju.com.vn viagra Common Sense Monster! 常識モンスターをやっつけろ!》
会場風景
会場風景

本展はすべて写真撮影が自由なので、ついいろいろ撮ってしまう。

やはり本展のポスターにもなっているだけあって、冒頭にあった《東京の朝 Good Morning Tokyo》は見応えがある。

近くで見ればちゃんと刺繍とわかるが、グラデーションが見事だ。

《東京の朝 Good Morning Tokyo》
《東京の朝 Good Morning Tokyo》

最初、展覧会のポスターを見てこれが「刺繍」でできているとわかるとちょっとびっくりした。

こうした意外性や違和感は、本展のテーマの背景にあることなのかもしれない。

というのも、本展の概要などを読むと、かなりいろいろな意味を込められていることがわかるからだ。

そもそも刺繍というものは、手仕事でありその喜びを奪った機械の象徴〈ミシン〉を駆使し、そうしたミシンで大量生産される製品と美術作品の違いとは何かという問題を提起しているそうだ。

刺繍は女性がするものという伝統的な男女の役割に対して、男性である作者が携わっていること、50代である作者の展覧会名のサブタイトルが「刺繍少年」となっていること…。

アンコンシャス・バイアス、ジェンダー、エイジズム(年齢差別)などの問題をも提起しているのだという。

作品の展示は以下のような章立てで紹介されていることからも、刺繍を通じて、社会の問題を取り上げていることがよくわかる。

1. 初期の作品よりー目黒より愛をこめて
2. About Painting
3. 祖父・青山龍水へのオマージュ
4. 資本主義、社会主義と労働問題(1)
5. Everyday Art Market一コロナ禍の「日常」と「非日常」
6. 資本主義、社会主義と労働問題(2)
7. Map of the World ー世界地図
8. アーティストのための世界地図
9. 名もなき刺繍家たちへ捧ぐ
10. 資本主義、社会主義と労働問題(3)
11. 資本主義、社会主義と労働問題(4)
12. 新作よりー「永遠なんてあるのでしょうか」消えゆくものたちへ

幻の東京オリンピック2020エンブレムが…
幻の東京オリンピック2020エンブレムが…

今回の自分がそうだったのだけど、さっと流してしまうと、その意味している内容をしっかり理解できないときがある。作品をよく見て、解説などを読むことえ、その意図がわかるという感じだった。

知らない人のほうが多くなっていくであろう、東京オリンピック2020の”幻のエンブレム”の存在もいろいろ考えさせられる。

国境なんてない…?
国境なんてない…?

何気ない世界地図の刺繍だが、これが暗くなると、しっかりと国境線が現れる。

暗くなると…
暗くなると…
国境線が浮かび上がる
国境線が浮かび上がる
News From Nowhere (Labour Day)
News From Nowhere (Labour Day)

この作品は、19世紀のニューヨークで行われた「レイバーデー(労働者の日)」のパレードが元になっているようだが、よく見るとありとあらゆる主張がごちゃ混ぜになっていることがわかる。そして一番目立つところには、「GIVE MORE APPRAISAL FOR ARTISTS' LABOUR!(芸術家にもっと評価を)」とあって、実はもっとも強く訴えたいことなのかも…。

最後の章では、本展のサブタイトルにもなっている「永遠なんてあるのでしょうか?」ということに関連してか、時代に取り残されて消えゆくであろうものたちが作品になっている。

乗車券はつい先日、首都圏の鉄道会社数社よりQRコード化することが発表されたし、1万円札は来月新札が登場する。

乗車券と1万円札は、どちらもこれから消えゆく運命にあって、どちらもいずれ「懐かしい」という存在になって行くのだ。

《Ticket to ride(青山悟の乗車区間)》
《Ticket to ride(青山悟の乗車区間)》
《Just a Piece of Fabric》
《Just a Piece of Fabric》

さまざまな”消えゆくもの”が刺繍の作品になっていた。

本展のチラシやマクドナルドのレシート、吸い殻など、いずれもよくできていて細かい。

よく見れば目黒区美術館の「解体」を心配する美術館のアンケートの回答用紙もあって、批評的なまなざしが随所に見えるとてもおもしろい展覧会だった。

《永遠なんてあるでしょうか?》
《永遠なんてあるでしょうか?》
かなり細かい…
かなり細かい…

前述の通り、写真撮影がすべて自由ということで、あちこち撮ったつもりなのだけど、意外と後から振り返って見たい作品や解説などが撮れてなくて、なぜ撮ってなかったんだろう?と自問自答してしまう。

自由過ぎると、かえって不自由な結果になる場合もあるのかもしれない。

Posted by ろん