7421 開館40周年記念「旧朝香宮邸を読み解く A to Z」
東京都庭園美術館で開催中の「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」を鑑賞。ときどき、建物を中心とした企画展が開催されているが、今回は特に詳しい解説が加えられていて、旧朝香宮邸を知ることができるようになっているという。
邸宅を解説するキーワードにちなんだ解説シートが、あちこちに置かれていて、それを集めながら、探索していく趣向のようだ。
A〜Zまで順番に並んでいるのではなくて、その場所を紹介するキーワードの頭文字になっていた。
何度となく来ているし、建物自体の鑑賞もしているが、それでも毎回、何かしらの発見がある。いつも最初に入る大広間の一部で、ふだん覆われているカーペットが取り除かれ、寄木細工の床が見えるようになっている。
こうした展示は、他の部屋でもあって、木の組み方が異なっているところもおもしろい。
そして、やっぱり気になるのは、部屋ごとに工夫されている照明の数々。大食堂の照明は、パイナップルとざくろをモチーフにした、ラリックの作品だそう。
他の部屋の照明もいい。
ついそれぞれの部屋ごとに写真を撮ってしまう。
邸内のあらゆるところが被写体だから困る。
夏場に涼を求めて家族で過ごしたという開放的な「北の間」に作品の展示があった。
事前に予習したつもりだったが、他にもあちこちにこうした作品の展示が、“ひっそり”と行われていたようだったが、あまり気づくことができなかったのは残念。
今回一番のみどころは、屋上階に温室として作られた「ウインターガーデン」かもしれない。ここは通常、展示室としては使用されておらず、今回も人数を限定して入れ替えで鑑賞するようになっている。
今日は比較的過ごしやすい気候だが、真夏ではとてもいられたものではない気がしたが、良く見れば、多くの窓が開くようになっていて、風が通るように工夫されているようだ。
朝香宮鳩彦王がフランス留学中、交通事故に遭ったため長期滞在することになったが、ちょうどそのころ、フランスはアール・デコの全盛期。
その様式美に魅せられた朝香宮夫妻が、自邸の建設にあたって積極的にアール・デコ様式を取り入れたのが、この旧朝香宮邸なのだ。
さまざまな奇跡が、この建物を誕生させたことがわかる。