7089 特別展「愛のヴィクトリアン・ジュエリー」
今日は大倉集古館で開催中の、特別展「愛のヴィクトリアン・ジュエリー~英国のライフスタイル~」を鑑賞。
内容はこんな感じ。
本展では、大英帝国がもっとも繁栄したヴィクトリア女王の治世、英国王室にまつわる宝飾品をはじめ、当時台頭してきた資本家層など、多くの人々を魅了したヨーロッパのアンティークジュエリーを中心に、英国上流階級のライフスタイルを彩ったドレスやレース、銀食器など、華やかで優雅な世界をご紹介いたします。
残念ながら、館内は一切撮影不可。
[ダイヤモンド]ジュエリーの中心にある素材だと思うが,その特別な存在になったのは、18世紀に入ってベルギーで“ブリリアントカット”が開発されてからだそうだ。
19世紀に透明性と輝きを増す“オープンセッティング”によるデザインが広まったことで不動の地位を占めるようになったという。
素材もさることながら、カットやデザインの進化によってこそ、その価値が高まったことがわかる。
[エナメル]金銀銅などの金属板の上に透明または不透明なガラス物質(釉薬)を焼き付けたものだそうだが、描かれている絵がとにかく細かい。ここで初回されているものに限らないが、単眼鏡でも使わない限りまず見えない。昔の人は目が良いんだろうな。
[モザイク]細い色ガラス棒を隙間なく並べて、モチーフを描き出したものをローマンモザイクというそうだ、当時2万色以上あったといわれるガラス片で描かれていて、とても繊細だった。
[ピクウェ]鼈甲や象牙に金銀あるいは真珠の母貝を象嵌したもので、秘法として受け継がれたため、途絶えてしまった技法だと解説にあったが、“ピクウェ”で検索すると、一番最初にヒットしたのが,楽天市場のサイトだったのがちょっとびっくり。
[アイボリー]今回ビックリしたことのひとつが、この“アイボリー”ということば。そもそもが、ivory=象牙だったと初めて知った。すっかり色の名前だと思ったが、象牙の色を言い表す言葉が、“アイボリー”つまり象牙色のことだったのだ。
[その他]アンティークジュエリーの進化が進んでいくと、昆虫や蝶、トラの爪なども素材として使われていて、ここで紹介されていたp「ブルーバタフライブローチ(トンボ)」は、南米産のモルフォ蝶の羽の美しさを生かしたもので、100年前に作られているにもかかわらず、見事に輝いていた。
2階に移って、英国王室御用達の宝石商ジョン・シェルダンのコレクションが紹介されていた。
彼が収集したジョージアンヴィクトリアン期のジュエリーは、1931年に金本位制が廃止されて金が高騰した時代に流出と破壊から救ったとあった。こうした経済的な変化によっても保存に大きな影響があることを知った。
[チャールズ一世のモーニングスライド]亡き王を追悼するためにその遺髪を編み、その上にCRのイニシャルを彫って、水晶で覆ったスライド。髪の毛は、神秘性、永遠性の象徴であったと同時に、失った愛する人との絆とも考えられた…とあって、他にも同様のジュエリーがいくつか紹介されていた。
[結婚の“習慣”]宝石のついた婚約指輪と、シンプルな金の結婚指輪が贈られること、結婚式にレースのヴェールを着用すること、ウェディングケーキなどは、どれもヴィクトリア女王とアルバート公の成婚を機に広まったものらしい。現在の結婚のかたちの原型を作っていたということにびっくり。
[ジェット]地中深くに堆積した流木が長い年月を経て化石化したもので、真珠同様、人間によって発見された最初の宝石のひとつという。魔除けとしても使われていたそうだが、これまで意識したことがなかったが、Wikipediaでも…
イギリスのヴィクトリア女王が、夫であったアルバート公の喪に服した折、服喪用ジュエリーとして用いたことで名高い。女王が自身と謁見する女性に対し、黒玉を身につけることを奨励したため、イギリス貴族女性の間で大流行した。
…との記述もあった。
今回の特別展は、展示されているアンティークジュエリーの素晴らしさもさることながら、関連するエピソードがとても興味深かった。