奇想天外な目と光のはなし/入倉隆
- 奇想天外な目と光のはなし
- 入倉隆
- 雷鳥社 (2022/3/21)
この本を読み始めたのは、2022年7月24日ごろだったようだから、もう半年以上も経ってしまった。
あれから自分の目の病気が進行してしまったことで、より目に対してかなり意識が向いた時期だったと思う。
手術後しばらくのあいだ、長い時間本を読むのがつらかったこともあって、なかなか読み進められなかったが、今日ようやく、ざっくり読み終えた感じ。
本書を読み進めていくと、目について知らないことばかりだと実感させられる。
よく考えれば、目はかなり複雑な構造をしているが、どのように進化していったか…ということについて、丁寧な解説がある(p.25)。
コミュニケーションを円滑にするために、人間は白目が見えるように進化したのだという。
目はその主の生存に不可欠な臓器であり、その仕組みや機能が、その動物の姿を決定しているともいえるかもしれない。
目にもさまざまな種類がある。
昆虫に見られる複眼はよく知られているが、巨大な眼になってしまうのは、解像度を上げるためだと言われると、なるほどと思う。
特に変わってるなと思ったのは、ホタテの目で、なんと、反射望遠鏡のそのものの構造をしているという。
細かなものは見えなくても、光や動きに対してはものすごく敏感であるとか、立体的に見える範囲が狭くても、とても広範囲に視野があるといった感じで、その動物の生き方に適した構造になっている。
おもしろいなと思ったのは、話せない赤ちゃんの視力検査方法(p.122)
白黒の縞模様の板と何も描かれていない灰色の板を並べると、赤ちゃんは目立つ縞模様の板を見るので、その縞模様の幅を区別がつかなくなるまで狭くしていくというやり方だそうだ。
なかなか上手いこと考えると感心してしまった。
生まれた直後は0.02程度。6歳ごろまでにほとんどの子どもが視力1.0を超えるようになるそうだ。
そして、どうして一般的に、視力は2.0が上限なのかについても、触れられている。
それは、人の目の視細胞の間隔より狭いとそれ以上細かな識別ができなくなるからだそうで、それがちょうど視力2.0らしい。
他にも目に関するさまざまな話題が盛りだくさんで、とても楽しく読ませてもらった。