[社会の窓]廃炉作業と再稼働
福島第一原子力発電所の廃炉作業現場を見学できた。
12年前ライブカメラを通じて見ていた場所に立った。
実際現地を訪れて最初に感じたのは、無数の巨大なタンクに圧倒される一方で、廃炉を進めている4つの原子炉があまりに”ちっぽけ”に思えたことだった。
これだけ”小さな”ものが、日本いや世界を巻き込んでしまうほどの事故を起こしてしまうことの怖さを実感する。
当然ながら事故は問題だが、廃炉を着実に進めていくことと、原発の再稼働とは別に考えるべきだと思った。
前者については、まず優先すべきは処理水の廃棄問題の解決だろう。
見学の場でも、もっとも理解を得たいところだったようで、処理水の件については重ねて説明があった。
海洋放出する処理水と同じトリチウムの濃度の海水と、普通の海水の両方でヒラメを飼育して、双方に差がないことを目に見える形で示す取り組みをしているそうだ。
論理的、科学的なデータを示すことは大切だろう。
並行して再稼働についても考えていくべきだと思った。
事故を起こさないようにすることはもちろん、万が一事故が起きたとき、いかに被害を小さくするかを考えていく。
ロシアとウクライナとの戦争でエネルギー供給が不安定な状況は今後も続くだろうし、仮に戦争が終結したとしても、新たな問題は確実に起きる。
日本において、エネルギーを大量に安定供給できる方法は、現時点で原子力発電しかないのだから、どのようにしたら稼働できるのかについての議論を深めていくべきだと思う。