7019 企画展「本と絵画の800年」

今日は練馬区立美術館へ。
吉野石膏が収集してきたコレクションのなかから、絵画と本との結びつきに注目して選んだ約200点を紹介する企画展「本と絵画の800年」を鑑賞した。
第1章は中世・ルネサンス期のヨーロッパで作られた写本について、第2章はピサロ、シャガール、藤田嗣治などの洋画、第3章は若冲から上村松園、加山又三、東山魁夷といった日本画…といった感じで展示は、大きく3つに分かれている。
撮影可能なのは第1章だけで、特に印象に残ったのも第1章の展示だった。

写本は、文字通り、人の手で”写され”て作られた本だ。
印刷術が発明されるまで、本の複製は当然すべて人間の”手”によってのみ行われていたわけだが、この製作工程はすごい。
動物の皮を薄く削って加工した羊皮紙を作って、そこに鳥の羽で作ったペンにインクをつけひとつひとつ文字を書く…途方もない手間と時間をかけて作られていた。
活版印刷術は、羅針盤、火薬とともに、ルネッサンス期の三大発明のひとつに数えられているが、その印刷術というものが、それほどまでにすごい発明だったということを今日の企画展で再認識した気がする。
主に展示されていたのは、時祷書(じとうしょ)と呼ばれるキリスト教の一般信徒のための祈祷書だ。
かなり鮮やかな発色が印象的だ。

第1章の後半では写本を作るための道具が紹介され、実際に使われる羊皮紙には触れることもできた。
羊皮紙といっても羊だけでなく、ここでは、山羊、羊、仔牛…と、3種類に触れることができるが、それぞれ微妙に手触りが異なる。
かなりの手間をかけて作られた羊皮紙のおかげで、いま、数百年の時を経て、こうして写本を見ることができるのだ。