[社会の窓]“あの世”
死後の世界…あの世なんて、正直言って「ないんだ」と思っていた。
でも…もしも…自分の大切に思う人が亡くなったときには、どうか安らかに、穏やかに過ごせる“あの世”があってほしいと思いはずっとあった。
先日資生堂ギャラリーで鑑賞した企画展のテーマになっていた「逆さごと」という風習はの意味が、生きている人のためではなく、亡くなった方のために行うものという説があると聞いた。

死後の世界はこの世と違ってすべてが逆なので、亡くなったばかりのときは、慣れるのに苦労するため、故人が困らないように逆にしておくのだという。
「逆さごと」の存在自体は知っていたものの、意識したことはなかったが、これは、僕自身が、亡くなった人には、穏やかに過ごせる“あの世”があってほしいと思っていた“死後の世界”に通じるものがあるような気がした。
同時に思うのは、亡くなった人たちは、この世を生きる人たちには、この世の人生をまっとうしてほしい…ときっと思ってくれるはず…ということ。
“あの世”の世界に生きる亡くなった人たちのことを想えば、“この世”の人たちが、自分の人生を大切に生きることができると考えるはず。
そうか…“あの世”は、亡くなった人にとっても、遺された今を生きる人にとっても、相手を思いやる大切な場所なのかもしれない。