6870 企画展「はこぶ浮世絵-クルマ・船・鉄道」
今年は鉄道開業150周年ということで、鉄道会社以外でも関連イベントが多く開かれている。
今回太田記念美術館で鑑賞した企画展「はこぶ浮世絵-クルマ・船・鉄道」もこれにちなんでの開催のようだ。
江戸時代から明治の初めにかけて、“手に持って”はもちろん、籠や肩車、船、馬車、人力車、そして汽車…と、人々の“運ぶ”姿を描いた浮世絵を紹介している。
特に興味深かったのはやはり、日本初の鉄道を描いた浮世絵だった。
多くの浮世絵が開通前の“想像”で描かれていたということが、かなり意外だった。
ただ、そのせいで、かなりいい加減に描かれている。
たとえば、こんな感じ。
- 蒸気機関車というよりも蒸気船のような形状
- 開業時の蒸気機関車に存在しないカウキャッチャーが描かれている
- 先頭にあるはずの蒸気機関車が荷物車と客車に中間に挟まれている
- 蒸気機関車の石炭庫の部分に乗客が乗っている
かなり珍しいできごとだったから、なんとかして描こうとするあまり、どこかで見聞きした情報だけで描いたためだろう。
日本に輸入されたのはイギリス製の蒸気機関車だったのに、アメリカ製の蒸気機関車の特徴であるカウキャッチャー(機関車の最前部に付けられた牛避けの部品)が描かれてしまったりするのだ。
あまりのいい加減さに、思わず笑ってしまったが、当時の人たちにとって、衝撃的なできごとだったに違いない。
それから今年で150年経ったのが、いま…なのだ。
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