送電鉄塔ガイドブック/送電鉄塔研究会
- 送電鉄塔ガイドブック
- 送電鉄塔研究会
- オーム社 (2021/11/18)
送電鉄塔は、文字通り送電線のための鉄塔で、地方を旅行しているときとか郊外などでよく見かける。
鉄塔は気づいたときには「そこにある」ものだし、鉄道などと違って、まったくと言っていいほど、変化するものでもない。
それだけに風景に溶け込んでしまって、あまり意識する機会はないのだけど、昔から気になる存在ではあった。
あらためて送電鉄塔を意識したのは、本書を手にする前に意識したのは、小説の「鉄塔武蔵野線」以来かもしれない。
送電鉄塔の歴史、用語名称などの基礎知識、送電鉄塔の建設の過程や種類、保守など、写真や図も多いが、文章も盛りだくさんで、なかなかボリュームがある。
内容はかなりマニアックで、いったい誰のために書いてるんだろう…とすら思ったが、たまたま、タモリ倶楽部で本書と著者グループが紹介されていたのを見て納得。
著者グループは、送電を担う東京電力パワーグリッドの社員有志で、まさに送電鉄塔マニアの集まりだった。
本書では、送電鉄塔についてたくさんのことを知ることができた。
実は本書を見るまで、送電線は被覆をしているのだと思っていた。
電気が流れる部分が露出しているからこそ、鉄塔の高さが必要であり、ものすごい数の碍子が並んでいるのだ。
鉄塔にはさまざまな形があるが、そのどれも当然ながら意味があるとか、鉄塔は、送電線を吊るタイプのものと引っ張るタイプのものもあるとか、あまり意識しない仕組みなどもよくわかった。
送電線工事に携わる作業員たちを“ラインマン”と呼ぶなんてことも、初めて知った。
電線の仕様だとか、送電鉄塔の管理番号の付け方とか、関係者でなければまず知ることのない話など、読み応えがある本だった。