帰宅難民なう。/難民A

■社会・政治・事件,龍的図書館

photo

帰宅難民なう。
難民A
北辰堂出版 (2011/4/1)

2011年3月11日に発生した東日本大震災で、帰宅難民と化した人が、当日自宅に帰るまでの一部終始を詳細に振り返ったドキュメント。

特別大きな事件などが起きるわけではなく、おそらく当時多くの人たちが経験したことが書かれている。

あのときこれまでにない経験をしたにも関わらず、不思議とちゃんと覚えていないもので、あらためて振り返ると「そういえば…」ということがたくさんある。

著者は会社のある江戸川橋から自宅のある大森までの約18kmを徒歩で帰宅することを決断し、途中の風景や自身に起きたことを紹介する。

ふだん長い距離を歩かない人にとって、この距離はかなりの苦痛で、それなりの準備が必要だし、長時間歩くとなるとその間の携帯電話(スマホ)のバッテリー不足も心配になる。

そういった意味でも、あらかじめシミュレーションしておくことの重要さを思い知らされる。

また、震災直後には意識していても、あれからもう10年以上も経つと、当時とは状況がかなり変わってきていることが多くあることに、本書を読んで気付かされた。

通信障害の影響を受けることなく活用できたPHSは、本書でも紹介されていたが、今はもう無い。

また本書で“携帯電話”と記載されていたのは、スマホではなくいわゆる“ガラケー”だろう。

当時、2011年時点のスマートフォンの普及率は14.6%だった。

また、情報をストリーミングではなくワンセグが活躍していたのも、本書で思い出した。

時代が変われば対処法も変わるわけで、常にバージョンアップしていかないといけないと思った。

たとえば、当時よりもはるかに使用頻度の増えた、電子マネーには気をつけないといけないだろう。

停電したら一切使用できなくなってしまうわけで、ある程度の現金を持っておいたほうがいい…など…。

Posted by ろん