誰も書かなかった東武鉄道/渡部史絵、花上嘉成

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超! 探求読本 誰も書かなかった東武鉄道
渡部史絵、花上嘉成
河出書房新社 (2021/5/20)

東武鉄道は、自分にとっては最も身近て鉄道会社ということもあって、これまで、多くの本や情報に接してきている。

だから、新しい本などを読んでも、たいてい知っている情報が多いが、本書は、タイトル通り、初めて知ったことも多く、読み応えがあった。

東武を代表する特急用車両100系スペーシアは、当初、二階建て車両や展望席を設けることを計画していたとか、ボツとなった新型通勤車両のデザイン、本書の口絵には、9000系の塗装試験を行った時の写真など、興味深い話ばかりだった。

かつての主力通勤車8000系は、セイジクリーム一色で塗装されていたが、これは週休2日制によって塗装作業時間を減らす目的だったという。

しかし、その後、鉄道としてのイメージアップのほうが重要と判断され、いくつかの案のなかから、ホワイトにブルーの帯の入った新塗装に変更された…というエピソードも、時代を感じさせられる話だ。

先日、完全にすれ違いになって、目の前にいたにもかかわらず、直接見ることがかなわなかった、SL大樹導入のエピソードなど、東武博物館の元館長の協力もあり、内部の関係者でないと知りえない情報ば盛りだくさんだった。

Posted by ろん