6296 「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」展

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アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話
アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話

世田谷美術館で開催中の企画展「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話」を鑑賞した。

アアルトといえば、フィンランドの“巨匠”アルヴァ・アアルトを思い出すので、“二人の”アアルトってなんだろう?と思ったら、アイノは、アルヴァの妻の名前だった。

無名時代のアルヴァの事務所で働き始めたアイノと結婚し、その後、アルヴァは、世界帝な建築家、デザイナーとなっていく。

この企画展では、アアルト単独ではなく、互いの才能を認めてともに活動を続けたきた軌跡を紹介している。

アルテックの創業者だった
アルテックの創業者だった

知らなかったのだけど、フィンランドを代表する家具・照明メーカー のArtek(アルテック)は、アルヴァとアイノを始めとする4人で創業したのだという。

Artekの名由来はartとtechnologyの融合だそうだ。

パネルだけでなく、当時のスケッチや模型などとともに、当時開催された展覧会や万博の雰囲気をそのまま紹介する内容になっていて、当時の雰囲気も味わえる。

万博の展示をイメージ
万博の展示をイメージ

印象的だったのは、アアルト初期の機能主義建築の傑作と言われる、パイミオのサナトリウムに関連する、一連のデザイン

これは以前も一部東京ステーションギャラリーで鑑賞している。

収容される結核患者に配慮して、埃をためないための壁の曲線や、消音のために角度をつけた洗面ボウル、冷えた空気が直接部屋に入らないように工夫された窓、座って寄りかかると呼吸しやすい角度になる背もたれを持つ椅子…などなど、トータルにデザインされているのだ。

もちろん、彼や彼の妻だけでデザインされたわけではないだろうけど、同じ人たち同じチームで、作り上げているところがすごい。

ふつうに考えれば、それぞれの専門家によって分業が進んだほうが、より素晴らしいものになる気がするが、必ずしも意外とそうでもないのかもと思ってしまう。

結構お客さんが来てる
結構お客さんが来てる

こういた収蔵品でない企画展では珍しく、後半部分だけだけど、写真撮影も可能だった。

事前決済のみの完全予約制に加えて、変更もできないという、かなりの制約がある企画展だったが、今日は平日であるにもかかわらず、けっこう観覧者がいた。

北欧デザインの人気は高い。

落ち着いた感じがいい
落ち着いた感じがいい
真似したいけど難しい
真似したいけど難しい


アルテックの“現行品”の展示は、ちょっと“宣伝”っぽさも感じるところがあったけど、その完成度の高さから企画展の展示としては違和感はなかった。

まったく古さを感じさせず、こうしたデザインや考え方の普遍性を実感できた。

Posted by ろん