JR貨物の魅力を探る本/梅原 淳
- JR貨物の魅力を探る本
- 梅原 淳
- 河出書房新社 (2019/1/26)
かつて貨物列車は、旧国鉄ばかりでなく私鉄でも多く見られたし、おぼろげながらも、あちこちで見掛けたのを覚えている。
以前と比べて貨物列車の本数は減って見る機会も減っていることもあるし、そもそも利用者は一般人ではないから、知らないことが多い。
本書では、貨物列車について「機関車」、「貨車とコンテナ」、「貨物列車」、「運転技術」、「列車ダイヤと運用」、「貨物駅・施設」、「運賃の仕組み」、「貨物列車の未来」の8つの章に分けて紹介する。
写真はかなり控えめで文字が多いせいか、なかなか読み進められなかった。
というのも、記載されている内容が気になって、すぐにインターネットで検索してしまうからだ。
そして、その検索結果から、別の内容が気になってしまって、本に戻ってこられなくなるということを繰り返してしまった。
現状だけでなく、過去の歴史などについても触れている。
かつての貨物列車は、いまと比べものにならないほど、バラエティー豊富だった。
それだけに、”無駄”が多かったともいえる。
そういった意味では、現状では、だんだんと面白みに欠けてきている感は否めない。
ふだん意識しない内容に触れることができる。
多少は知ってるつもりの旅客列車と比べると、貨物列車については知らないことも多かった。
特に運転技術に関する部分は特徴的で、旅客列車と同じ感覚で運転しようとしてもうまくいかないだろう(ふつうどちらも運転することはないけど)。
ダイヤが乱れた時の対応や、定刻通りに到着しない荷物の扱われ方なども興味深い。
荷主によっては、遅れてもいいからそのまま輸送してほしい場合もあるし、逆に返してほしいという場合もあるというのは、なるほど「そりゃそうだ」と思った。
そういった荷主の要望に対応するため、不通区間の発生に備えて、舞鶴港‐小樽港、神戸港‐大分港の、2つの航路を代替輸送ルートとして持っているそうだ。
膨大な数あるコンテナの管理方法とか、JR貨物ではなく荷主が所有する“私有貨車”の仕組みもおもしろかった。
荷主は、貨車の製造費用さえ支払えば、検査や修繕費用はJR貨物持ち運賃も15%から20%の割引になるが、30年以上経過した場合は荷主が検査費用の一部負担するなんて、僕が知ったところで、何の役に立つこともないような話など印象に残った。