ウンコはどこから来て、どこへ行くのか/湯澤 規子

■歴史・地理

人糞は、かつては肥料として使われ、かなりの価値を持っていたとは、よく聞く話だが、具体的には何ひとつ知らないことばかりだった気がする。

実際、ちょっと前に行った足立区立郷土博物館で、肥溜めに関する詳細な展示はとても興味深く見学したことは記憶に新しい。

本書では、まずウンコとは何か、そして著者とウンコとのかかわりについて述べられている。

生きていくのに関わらないことがありえないのにウンコは、普段の生活からできるだけ遠ざけられる存在になっている。

一方で、子供たちには絶大な人気があるのもおもしろいが、そんなウンコと人との関わりは、これまた語れないほどのエピソードがある。

下肥(肥料)としてウンコがどのように取引され使われていったか?といった話は、これまであまり聞いたことがなかったから、新鮮だった。

武家と長屋では、引き取られる値段が違うのだそうで、それは食べてるものが違うからそこで出てくるウンコの質が違ってくるからだという。

また、お金の代わりに野菜や沢庵の現物支給もあった。

そして、時代を経て、価値のある「資源」から、処理をするために費用を掛ける「廃棄物」に変わっていく経過は、時代に翻弄されるウンコの悲哀みたいなものも感じてしまった。

また地域によっても、ウンコの扱いは異なる。

沖縄では古くから、人間のウンコが豚の飼料として使われており、それは中国から伝わったという。

豚とともに暮らしていたことは、「家」という漢字に「豚」のつくりが入ってることからも分かると知って、新鮮な驚きだった。

ウンコについてここまで詳細なフィールドワークをした資料は初めて見た。

Posted by ろん