2020東京・首都圏未来予想図/宝島社

■建築・都市

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2020東京・首都圏未来予想図
宝島社
宝島社; 最新版 (2015/2/13)

本書は、2015年2月に刊行した、5年後の東京を予想したムック誌だ。

2021年のいま、それが当たっているかどうかを確認することができるわけだが、もう表紙からしてまったく違った未来になってしまったことがわかる。

まず最初の項目は…

「2019年完成に向けて動き始めた「新国立競技場」プロジェクト」

建築家ザハ・ハディドによるデザインの案が採用されたものの、建設費暴騰により規模が縮小された挙句、一旦白紙に。

結局、当初のデザインとは似ても似つかぬ…というか、まったく別の隈研吾による設計で建設されている。

続いて…

「待ったなしで進められるオリンピック競技会場の建設」

オリンピック選手村についても書かれているが、もういうまでもなく2020年が過ぎても使われないという異常事態が続いている。

その次の見出しが…

「豊洲新市場が2016年11月開場 日本の「食」の新発信地が完成間近」

市場自体の開場が遅れ、その影響で観光客向けの“千客万来”施設の建設を巡って、東京都と事業者が揉めて最初の事業者が撤退し、さらに開設が遅れる事態に。

冒頭の3ヶ所は散々な状態だ。

虎ノ門や、銀座、日本橋、新宿などの大規模プロジェクトは、多少の遅れはあるものの、それなりに進捗があって、2020年には予想にかなり近い状態になっている。

本書が刊行された当時は、多くのプロジェクトが仮称で呼ばれていたので地図と完成予想図を、現在の施設と重ねてみる。

(仮称)新日比谷プロジェクト=東京ミッドタウン日比谷
(仮称)銀座五丁目プロジェクト=東急プラザ銀座
(仮称)銀座6丁目プロジェクト=GINZA SIX

味もそっけもないプロジェクトが興味深い。

続いて、鉄道のプロジェクトを見てみる。

まず…

「2027年にリニアが開通予定」
「虎ノ門に日比谷線新駅が誕生!」
「品川〜田町駅間に新駅誕生」

…とあって、新駅については現実のものとなっているが、リニアについては、静岡県(知事)の抵抗までは予想できず、大幅に遅れそうだ。

そして…

地下鉄8号線(豊洲〜住吉〜野田市間)
メトロセブン
エイトライナー

…について取り上げられている。

メトロセブンは環七通り、エイトライナーは環八通りの地下を走る地下鉄として、ずいぶん前から鉄道における未来予想で必ず出てくる“常連”だが、おそらくこのまま“永遠の未成線”だろうな…と思う。

こういった本は、未来から過去を振り返って、ツッコミを入れたり、どこで失敗したのかといったことを振り返るのに大いに役に立つ…なんていうのは、ちょっと意地の悪い考えか。

Posted by ろん