謎解き日本列島/宇田川 勝司
- 謎解き日本列島
- 宇田川 勝司
- ベレ出版 (2020/4/13)
日本列島にまつわる豆知識、トリビアは、興味のある分野だから、それなりに知ってるつもりで、自分の知識との答え合わせのつもりで、本書を手に取った。
しかし、その考えがあまりに思い上がったものだと思い知るには、それ程時間はかからなかった。
もちろん、よく知っていることも多かったが、それ以上に、意識してそうで意識していない言われてみれば…みたいなことが多く出ていておもしろかった。
廃藩置県実施の際に、県庁所在地と県名を一致させる方針によって決められた…ということも、言われてみれば…のひとつである。
県名と県庁所在地が同じところは全国にある…が、しかし、周知の通り、“数々の例外”がある。
その“例外”となった経緯は、それぞれ理由があって、とても興味深いのだ。
全国で、似た組み合わせとか地名があるのは、決して偶然ではなくて、似てしまう必然性があるということも紹介されていた。
神奈川県横浜市のなかに「神奈川区」があるという事情は、兵庫県神戸市のなかに「兵庫区」があるのは同じ理由であるとか、九州最南端の佐多岬と四国最西端の佐田岬、秋田県の男鹿半島と宮城県の牡鹿半島、根室半島の納沙布岬と稚内にある野寒布岬といった地名も、それぞれ由来は共通しているそうだ。
なんとなく似てるなぁ…ということは気づいていても、それで終わりにせずに、その背景を気にしたら、もっと楽しめるに違いない。
本書では、そうした地名ばかりでなく、名産品や風習、文化などあらゆるジャンルが取り上げられていて、日本列島の奥深さを実感させられる。
あと…言われて「そういえば…」と思ったのが、東京の祭りに山車がなく神輿ばかり…という理由。それは、関東大震災や戦災で消失してしまい、その後復活しなかったからだそうだ。
ちなみに、本書でも“小江戸”として紹介されている川越には、いくつもの山車があるが、江戸(東京)に山車がない理由がそうなのだとしたら、川越はどうなんだろう…と思って検索してみたら、明治や大正時代、一部は江戸末期に作られていた山車もあって、なるほど、だから川越には山車が残り続けているのだということがわかった。
ほんとこういう話は尽きない。