すべてを疑え!/古賀純一郎
- すべてを疑え! (フェイクニュース時代を生き抜く技術)
- 古賀純一郎
- 旬報社 (2019/4/2)
ずっと以前から読んでたのに感想を書きそびれてきた本。
まず、タイトル通りなのだけど、ニュースはまず疑って掛かった方がいいと思う。
実際、誤報はもちろん、ニュースの捏造は、枚挙に暇がない。
「2016 Word Of The Year(2016年を象徴する言葉)」として、オックスフォード英語辞典が選んだのが「ポスト・トゥルース(真実)」だったそうだ。
つまり、直訳すると「脱・真実」。
世論形成においては、客観的な事実より、虚偽であっても個人の感情に訴えるものの方が強い影響力を持つ状況や、事実を軽視する社会だ。
客観的事実よりも個人の信念や考えに近い情報やニュースを信じる傾向が社会に強まっている。ネット上に蔓延するフェイクニュースは、それが事実でなくても自分の信念や考えに沿っていれば、人は信じるのだ(p.9)
また、マサチューセッツ工科大学の研究チームがツイッターの分析により「フェイクニュースは正しいニュースに比べて6倍速く到達する」という、2018年3月に公表した研究結果も興味深い。
発信する側は、正しいかどうかなんてどうでもいい…という考えが根底にある。
いや多少は気に掛けて「間違ってる可能性がある」と考えたとしても、「言われる方が悪い」とか「そういう見方もできる」という考え方のほうを優先してしまうのだ。
本書では、首相逮捕、地震で動物園からライオンが逃げ出したといった具体的な事例を紹介する。
ネットにはさまざまなフェイクニュースがあふれていることをあらためて実感させられる。
本書そのの後半で、在米ジャーナリストの津山恵子氏によるフェイクニュースの見分け方とが紹介されている。
1 真剣にググろう(検索しよう)
2 写真の出所、撮影時期をチェックしよう
3 他人の意見を聞こう(コメントを読んでみよう)
4 面白いビデオにだまされない
5 ファクトチェックサイトを使おう
p.127
常に意識はしているが、自分も「まさか」とは思いつつ、無意識にどこか信じてしまったり、火のない所に煙は立たぬ…なんて思ってしまうこともあるから、フェイクニュースは怖い。
大手のマスコミも、”報道しない自由”という言葉に代表されるように、本当に正しいことを伝えているとは限らないということも留意しておく必要がある。
東京高検検事長の賭け麻雀に居合わせたのが新聞関係者だったという話や、世論調査ですら不正があったとなると、もう何を信じたらいいのかわからなくなってくる。
もしかすると、世の中のニュースは、まずフェイクニュースかもしれない…と思って接した方が、健全なのかもしれない。