窓展: 窓をめぐるアートと建築の旅/東京国立近代美術館

■芸術・デザイン

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窓展: 窓をめぐるアートと建築の旅
東京国立近代美術館(編)
平凡社 (2019/11/8)

たまたま図書館で手に取った本書は、東京国立近代美術館で開催されていた企画展のカタログだった。

キーワードは「窓」だ。

窓は、四角い枠に囲われた外の世界の眺めをもたらしてくれるものであり、絵画もまた、四角い枠に囲われた「ここではない世界」の長めをもたらしてくれるものと考えるとすると、「絵画=窓」という定義ができる。

これは、約600年前のイタリアの人文主義者レオン・バッティスタ・アルベルティが彼の著書のなかで述べたものだという。

そう考えると、窓とアートはとても親和性が高く、切っても切れない関係にあるように思える。

絵画のなかにある窓が重要な役割を果たしていることも多い。

レオナルド・ダ・ビンチの「最後の晩餐」や、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」、日本でも岸田劉生「麗子肖像」など窓が印象的な絵画はけっこうある。

さまざまなアートを紹介するなかで興味深かったのは、見知らぬ人に対して、指定の日時に窓に立ってほしいと手紙で依頼し、その姿を撮影した「Stranger」という作品。

窓が両者を完全に隔てつつも、出会いを可能にするものであり、窓は、向かい合う双方が「ストレンジャーのまま」でいながら、どれだけ距離を縮めることができるか…を可視化するための装置という。

埋め立て途中だった神戸の六甲アイランドに巨大な窓を立てるというプロジェクト「East,Wind,Fine」も面白い。

なんと、地中3m、地上11.2m、幅6.22m、厚さはわずか15cm、使った鋼材は約5トンという大きさで、これを1983年5月29日から6月25日までの1ヶ月間、土日の午後のみ一般公開したという。

いまなら相当インスタ映えしそうな作品だが、作家によれば、作った人20人いたにもかかわらず、見にきた人は、わずか25人だったという。

時代を感じさせる。

実際の企画展に行くことなくカタログだけの“鑑賞”であったが、とても面白い内容だった。

アートに限らず「窓」という切り口が、興味深い視点を作り出してくれるものだとわかった。

Posted by ろん