5944 どんどん”見えなくなる”クレジットカード
エンボスレスのクレジットカードが登場したときは、たしかに、エンボスの必要性はほとんどないなぁ…と思ったものだ。
通常、カード表面には、番号や氏名などを凹凸で加工がされているが、それがないクレジットカードが、エンボスレスカードだ。
電話回線もインターネット回線もないところでクレジットカード決済をするとき、インプリンターという機械でそのカード表面を書類に写し取ることがあった。
かつて海外で1度だけインプリンターを使った決済をされたことがあったが、それ以降は一切お目にかかったことはない。
そう考えれば、もうエンボスは不要だし、ちょっとでも薄くしたいカードからエンボスの厚みが消えるのは、ありがたいことだった。
先日、三井住友カードがリニューアルされ、クレジットカード番号が表面ではなく裏面に記載されるようになると発表があった。
こうすれば、カード番号を盗み見られることは少なくなる効果はある。
そして、今日見かけた記事によれば、なんと、クレディセゾンが2020年秋から、番号レスというカードが発行されるというのだ。
そうだ。そもそも、カードを持ち歩いている際にカード番号が必要な場面はまずない。
見られて困るから裏面に記載するのだとしたら、なくたっていい…という発想だ。
つまり、これはエンボスと同じ話で、不要なものを取り除いただけなのだ。
存在すること、記載されることが当たり前だと思い込んでいるものでも、実はそれが、“なくてもいい”とか、逆に“不都合を生んでいる”こともあるんだと思い知らされた気がした。
もっとも、スマートフォンの登場によって、クレジットカードの機能が取り込まれ、物理カード自体も無くしつつある。
クレジットカードの活躍の場が広がるほど、逆にその存在がどんどん見えなくなるというのは、なんだか興味深い。