5734 21_21 DESIGN SIGHT企画展「虫展」
東京ミッドタウンにある21_21 DESIGN SIGHTで、先週から始まった企画展「虫展 −デザインのお手本−」を観に行く。
朝のうちは強めの雨が降っていたが、昼過ぎくらいからは、かなり蒸し暑くなってきたものの、直射日光を浴びなければ、まだ過ごしやすい天気だった。
小さな子供たちが昆虫好きなのは何故だろう?
昆虫は身近な存在であるはずの昆虫は、大人になるとなぜか苦手になっていく傾向がある気がするし、実際昆虫と接する機会は減ってしまう。
そんな昆虫は、人類が誕生するはるか昔からこの地球上に存在し、多種多様に進化を続け、いまだに知られていない昆虫もいるらしい。
実は知らないことだらけの昆虫の多様性や人間との関係性を通して、デザインの新たな一面を昆虫から学ぶ…という企画展。
まず最初に現れるのが、巨大な脚。実際には、2、3cmほどしかない虫の脚を700倍に拡大したものだが、小さな生き物が見る世界を想像してみよう…という作品だ。
のっけから圧倒されるが、すぐ隣に昆虫の標本が並んでいて、多種多様に進化した昆虫たちに驚かされる。
「虫のかたち」というタイトルの展示は、音楽とともに、そんな昆虫たちを”浴びる”ように次々と紹介する”昆虫のミュージックビデオ”。
どうしてこんなにもいろんな進化をしたのかとただただ感心をしてしまう。
夏休みということもあってか、昆虫というテーマのためか、子供たちの姿がかなり多かった。
小さな子どもたちにしても見ると、少しむずかしめな感じはするけれど、大人が解説したら、もっと楽しめるのではないかと思う。
カナブンのような甲虫の硬い前翅(ぜんし…昆虫の羽)の内側には、後翅(こうし)が綺麗に折りたたまれている。
飛び立つ瞬間にそれを折り畳み傘を開くように、さっと広げるところを、3Dプリンタで再現した作品。
作品のつくりとして、甲虫の本体が光るので、”逆光”となってしまうため、写真に撮ると、まるで真っ暗の中に浮かび上がってるようになってしまった。
今回の展示で、あらためて、驚いたのが、「Inside the pro-tech.us zovirax Cocoon」という作品。
サナギは、完全変態(メタモルフォーゼ)を経て、幼虫から成虫になるのだが、その様子をアニメーションで紹介している。
例えば、蝶。
芋虫が、蝶に変わる変化をアニメーションにしているのだけど、内部が完全にリセットされているのがよくわかる。
よくもちゃんと、成虫の姿に変化させられるなぁ…と驚く。
たしかに、幼虫のときと成虫のときの生活環境は大きく変わるわけだから、身体のつくりを完全に変えた方が、過去の影響を受けることなく極めて効率的なのはわかるのだけど、これほどまでの変化をやってのける自然の驚異を感じる。
さまざまな材料で独特の巣作りをするトビケラの巣にインスピレーションを受けた作品や、昆虫の擬態化を犬に置き換えてみた作品…
滑らないゴキブリの脚にはその表面に球体状に保たれた粘性の液体が分泌されているらしくそれを三角定規に応用したら…という作品や、鳥の目を模した”眼状紋”を紹介した作品など…
とても面白い企画展だったが、思ったほど”デザイン”の切り口での展示は多くなく、どちらかというと、昆虫自体のすごさとか、不思議さを実感した感じだった。
最近の21_21 DESIGN SIGHTの企画展は、ついていけない内容が多かったので、久しぶりにしっかり楽しめた気がする。