5723 マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展
今日は、丸の内にある三菱一号館美術館で開催中の企画展「マリアノ・フォルチュニ
織りなすデザイン展」を鑑賞する。
マリアノ・フォルチュニ…はて…。
どこかで聞いたことのある…というレベルではなく、まったく聞いたことがなかったし、何より驚いたのは、彼の名前が、あのウィキペディアにすら載っていなかったということだった。
しかし英語版には詳細に載っているし、彼単独の美術館がベネチアの中心部にあるそうだし、世界的には有名なのかもしれない。
マリアノ・フォルチュニの祖父や父は、プラド美術館の館長を務め、母も画家や建築家、美術評論家を輩出した芸術一家出身だったそうだから、芸術家になるべくしてなった…とも言える。
でも芸術活動は、“七光り”だけで大成することはないのは当然のことで、彼のように、画家や写真家、服飾デザイナー、舞台照明や衣装にとどまらず、劇場設計まで手掛ける舞台演出家、テキスタイルなどへのプリント方法、織機やなぜか船舶推進装置の発明などしてしまうくらいだから、きわめて多彩な才能の持ち主だったことは間違いない。
ただ才能を発揮するだけでなく、特許の出願や自らの企業を設立して、ニューヨーク、ロンドン、パリで販売を手がけるなど、実業家としても大成する。
彼の名前を不動のものにしたのは、ギリシャ神話に着想を得て創作されたという「デルフォス」…らしい。
もっとも、デルフォスの本当の考案者は彼の妻アンリエットだと本人は認めているそうだが…。
フォルチュニの両親もジャポニズムに大きな影響を受けていたそうだし、彼自身もデルフォスの上に羽織るコートやジャケットは、明らかに着物を意識していたり、日本の着物や染め型紙なども蒐集しているなど、親近感を覚える。
まったく知らない人物であったが、意外と楽しむことができた。
いずれまた名前を見たときに、あぁ…と思いだすことになるだろうし、何かの知識と結びつくことがあるかもしれない。