5575 その後
数年に一度くらいに、ある男のことを思い出し、彼が起業した会社名を検索してみる。
ビックリした。
いつの間にか、東京証券取引所一部に上場していたのだ。
会社を立ち上げて維持するだけでも大変なのに、それを大きく育てて、いわゆる“一流”として、世の中に認めてもらえるまでにしたのは、彼の才能に他ならない。
起業した直後くらいにバッタリ山手線の車内で出くわして以来会っていないので、上場までの苦労は知らないが、並大抵のことではなかったはずだ。
ふと思うのは、もし彼と一緒に仕事をしていたら…ということ。
いろいろ考えてみたが、むしろ、これほどまでの成功はなかったのではないかとも思ってしまう。
自分が、会社を立ち上げ維持していくというプレッシャーに耐えられる気がしないからだ。
でも、環境が人を作るという考え方だってある。そういった状況に身を置いていたら、否が応でも変わるしかない。
はたして、どんな自分になったのだろう? そんな自分も見てみたかった気もする。