5553 念願の太陽の塔内部見学
特に、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)は、行ってもいないのに、ずっと関心を持ち続けてきた。
それだけに、太陽の塔の内部見学ができるようになったと知ったときは、できるだけ早く行ってみたいと思ったものの、場所の問題はもちろん、完全予約制という制約もあり、これまでなかなかチャンスがなかった。
先月、一念発起?して、予約状況を確認してみたら、なんとか調整できそうなタイミングに空きがあったので、思い切って予約し、一気に旅程を組み立て、有給休暇の申請をしたのだった。
あっという間に、予約当日を迎えた。
今朝、一部でも内部の写真撮影できるところはないか調べていたら、なんと昨日から1階に限って、撮影が許可されたというニュースを見つけた。
なんという偶然だろう。
入口は、太陽の塔の下にあって、その先に受付がある。
予約時に発行された二次元バーコードを提示し、700円を支払って入館。
入口には、岡本太郎が現在の太陽の塔を考えつくまでの過程がわかるラフスケッチが並んでいた。
最初は違った姿ではあったが、下から上に伸びていく基本的なコンセプトは、まったく変わっていないことがわかる。
最初の展示は「地底の太陽」。
太陽の塔には、4つの顔があるとされ、塔の頂部には金色に輝き未来を象徴する「黄金の顔」、現在を象徴する正面の「太陽の顔」、過去を象徴する背面の「黒い太陽」、そして、この「地底の太陽」だ。
地下で展示されていたようだが、この地下の展示空間自体が、万博閉幕後に埋められてしまい、地底の太陽も行方が分からなくなったという。
今年、48年ぶりに内部が公開されるにあたって、わずかに残っていた情報を手掛かりに作り直したのだという。
この空間も当時の展示のごく一部だそうだが、なんともおどろおどろしい感じは、このあとの見学を膨らませるには十分だった。
地底の太陽に投影されるプロジェクションマッピングもいい感じだ。
そして、いよいよ塔内へ。
案内の都合から16人ごと1グループになって、塔の上部へ階段を上っていくという。
さきほどの地底の太陽に続いて、1階から見上げるところまでが写真撮影可能だ。
塔の内部が、ひとつのパビリオンであり、作品が展示されていたと知ったのは、それほど古くはない。
この「生命の樹(せいめいのき)」は、高さ約41メートルで、一番下にはアメーバーをはじめとした単細胞生物や、原生生物がいて、その上には、三葉虫や恐竜など、化石でもおなじみの動物、爬虫類や哺乳類、類人猿、そして人類に至る模型が取り付けられている。
1階からはあまり上までは見渡せないが、塔内では、当時と同じく、題名のない音楽会でおなじみ?だった黛敏郎作曲「生命の賛歌」が流され、幻想的な雰囲気。
壁の“ひだ”は、音の反響を考慮したものだそうだ。
展示されている動物たちは、かつては動いていたそうで、よりリアルに見えたことだろう。
公開にあたって、細部にわたって修復されたそうだが、ゴリラの展示だけは、あえて当時のままにしてるという。
動いていたという頭頂部は、劣化が進み、機械部分だけが残り、足の裏もいまにも取れそうな無残な状態になっていて、時間の経過を感じる。
岡本太郎は、この生命の樹で表したかったのは、単細胞生物が下等で、人間たちが上等という意図ではなく「樹」のように、根からすべてがつながっているということだったようだ。
なるほど、樹なら、根がえらいとか葉がえらいなんてことはまったくないわけで、とても秀逸な発想だとあらためて思った。
徐々に上に上がっていくと、ついには人類と対面することになるが、とても興味深かったのは、これまで見てきたどの動物と比べても、極端に小さかったということ。
いかにちっぽけな存在であるかを見せつけられた気がした。
ちょうどここは、太陽の塔の腕の部分で、万博当時は、ここから大屋根に移動していたようだ。
写真が取れないのは残念だけど、とても面白く鑑賞することができた。
太陽の塔から少し離れたところに、大屋根の一部が残されている。
この屋根を、太陽の塔が貫いていたという光景を実際に見てみたかった。
念願だった太陽の塔内部の見学を果たせてよかった。