たのしい路線図/井上 マサキ・西村 まさゆき

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たのしい路線図
井上 マサキ・西村 まさゆき
グラフィック社 2018/8/8

路線図は見ているだけでも楽しい。

この感覚は、鉄道好きでなくても、なんとなく感じてもらえるのではないだろうか?

何かの拍子に路線図を見始めて、しばらくじっと見入ってしまったことはけっこうある。

本書では、全国のJRや大手私鉄から地方の中小私鉄まで、数多くの路線図を紹介。

これまで無意識に見ていた、路線図の“見どころ”を「鑑賞のポイント」として以下のように紹介している。

それぞれわずか2、3ページの紹介だが、まとめ方がおもしろかったので、挙げておく。

時空の歪み
対象の路線を中心にすると、それ以外の路線のスペースがなくなり、乗車時間にしたらわずか数分の距離がすさまじく離れた場所に描かれるなど、どうしても歪んでしまう。その歪みを味わいたい。

その駅だけの一点もの
運賃や設置場所など、その駅でのみでしか見られない路線図がある。さらに同一駅でも異なった表現になるケースもあり、興味深い。その駅ならでは特徴も反映されることもあるから、見どころは多い。

他社との遭遇ー近郊路線図
先述の「時空の歪み」にも関連するが、自路線の路線図なのだから、当然優先して紹介したいけど、乗り入れ先や関連の深い路線も書き込まないといけない…という葛藤のあとを味わう。

レインボー路線図
最近では小田急電鉄が大きくデザインを変えてきたが、快速や急行といった列車種別や、湘南新宿ラインや上野東京ラインといった運転系統を説明しようとすると、どうしても色を多用することになり、それがあたかも虹のようになるのだ。

旧営団地下鉄(現東京メトロ)をはじめ、さまざまなサインシステムに携わった方のインタビューでは、路線図にとどまらず、デザインの考え方にも触れられている。

東京メトロにおける地下鉄路線図が現在のデザインに至るまでの経緯は、とても興味深かった。

縦・横・斜め45度の直線だけで構成された“ダイアグラム型”で登場したのは、1975年(昭和50年)のことだった。

1991年まで改良を重ねながら使われてきたという路線図は、よく覚えている。

以降、頻繁にデザインが変更されている。

実際の地理に近づけてみたり、乗換位置が示されたり、駅ナンバリングの表示が加わったり、そのときどきの時代の要請?で、路線図のデザインはけっこう変わっている。

路線図は、その求められる期待に合わせて、柔軟にその姿を変えているのだ。

本書全体を通じて、著者の“路線図愛”が伝わってくる。

視点や内容はとてもおもしろかったのだけど、残念なのは見づらさ。

インタビューや俯瞰した路線図などは問題ないのだけど、細かな見どころの紹介になると、あまりにも写真や文字が小さすぎて、よくわからなかったのは、ちょっと残念だった。

A5サイズではなく、A4の大判だったら、もっと楽しめただろうに…と思ってしまった。

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