新しい1キログラムの測り方/臼田 孝
かつて、1mの長さの基準となる「メートル原器」というのがあった。
原器を基準にするというのは、夏の暑さでレールが伸び縮みするなんていう例を出すまでもなく、いかにも厳格さを欠いている感じがする。
こうした規格を策定する立場からしたら、当然なんとかしたかったことだろう。
現在は、もうメートル原器は使われなくなり、光の速度が基準となっている。
一方、キログラム原器のほうは…こちらもすでになんらかの新しい基準ができているかと思ったら、なんと、キログラム原器は現役なのだという。
ただそれも、もうすぐ、そして、ようやく、来年2019年5月20日に定義が改定され、キログラム原器が、重さの基準ではなくなる予定だ。
本書は、重さの単位であるキログラムを中心に、国際単位系の7つの基本単位を含め、さまざまな「単位」の成り立ちや意義を紹介する。
ちなみに、7つの基本単位とは次の通り。
・長さ=メートル
・質量=キログラム
・時間=秒
・電流=アンペア
・熱力学温度=ケルビン
・物質量=モル
・光度=カンデラ
さまざまな整合性を取りつつ、困難を乗り越え、単位の基準が決められていく。
できるだけ平易な表現で書かれていて、読みやすかったが、内容はやはり難しかった。
軽い気持ちで読み流していると、すぐについていけなくなってしまう。
だから、何度も、前のページに戻って読み返してしまい、読み終えるのに、結構な時間がかかってしまった。
もちろん、こういう読書も面白いのだけど。