5248 藤城清治美術館
かなり久しぶりに那須へ行った。
宿泊先の宿は決まったものの、それ以外の予定はなかなか決まらなかったが、おじゃこのリクエストで向かったのは「藤城清治美術館」だった。
門から美術館までは、雑木林の小道を歩く。ちょうど車を降りたくらいから、小雪が舞い始めた。
実のところ、藤城清治という名前には、ほとんど記憶がなく、「いったい誰だろう?」という感じだった。
しかし、彼の作品をひとつひとつ丹念に鑑賞していくうちに、絶対どこかで見たことのある感じがした。
展示されているのは主に影絵で、暗い展示室に、後ろから照らされた作品を鑑賞していく。
独特の世界観に吸い込まれるような感覚。
意外だったのは、童話や寓話ばかりでなく、アメリカの同時多発テロや、東日本大震災などを題材にした作品もあったし、福島で防護服を着ながら取材して作品を制作するなど、1924年生まれながら、現在も精力的に活動を続けていることも驚きだ。
作品のところどころに登場していた「ケロヨン」というキャラクターが、かつて日本を風靡し、一時は、日本武道館に3万人も集め、テレビでも高視聴率を取り、社会現象とも言えるほどの人気を誇っていたということを知る。
その原作者が、藤城清治だった。
それほどの社会現象が、現在はあまり知られていない感じがするのは、きっと、”裏”があるに違いない…なんて考えると、ちょっと面白い。
美術館にはチャペルも併設。ちょっと覗いてみる。
もちろん、ステンドグラスは、藤城清治の世界観で作られた内容になっている。
正面の丸いステンドグラスをよくよく見ると、ちゃんと、ケロヨンが佇んているのがわかる。
じっくり鑑賞していると、いろいろと発見があるかもしれない。
入館料1,600円はなかなかの金額だが、こうしてまとまって影絵を鑑賞する機会なんてそうあるわけではなく、ちょっとした非日常空間に身を置くのは、けっこう楽しかった。